10,八双飛び
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は「迷宮盗賊」とか「ゴミ漁り」とかいう二つ名もあった。
そんな下らないことを言う奴にはタップリと決闘でお返ししてたから、その内に言われなくなったけど。
羽もない、魔法もない世界での、反則的な三次元戦闘。
低層のAIなら処理速度が間に合わず、AIに負荷がかかる。プレイヤーなら言わずもがなで如何に猛者の集まりと言えども、対策できたプレイヤーはそうはいなかったはずだ。
木から木へと飛び移り、地面を疾風のごとく駆け抜ける。
現実世界では味わえない解放感に、俺はこの息の詰まるデスマッチで久々に鼓動が高鳴るのを感じていた。
「ーーはぁぁぁ」
陶酔のままに、短剣を振るう。空中からの死角からの攻撃で、コタローのライフは残り6割程度まで落ち込んだ。攻撃力のない俺の一撃でも、次で落とせる。
そのまま、地面へと降り立ち、跳ね返ったように地面を掛ける。反撃で振るわれた刃が俺の頬を掠めていった。
「ぬぅぅぅ。かくなる上は仕方ないでござる。イスケ!あの手でいくでござる」
「心得た!!」
自分の足元に謎のボールを投げつける忍。モクモクと煙が立ち上り、煙が晴れた時には二人の姿は忽然と消えていた。
「っ隠蔽かよ。面倒くせぇな」
正直、マズイ。俺のスキルスロットは「索敵」はとれていない。どうにか視線だけで、隠蔽を看破するしかない様だ。
「「っふっふっふっふっふっふっふ、これが我らの霧隠れの術よ!!」」
なぜか笑い声まで場所がつかめない謎の残響が掛かっている。クルクルと左右を見回すが看破は一点を見つめなくては無理だ。
落ち着け、攻撃を仕掛けてくれば、確実に気付くはず。それに音の方は隠蔽でも無理だ。仕掛けてくるなら、どこかからの不意打ち。もしくは遠距離攻撃。
突然左右の風景が揺らぎ、俺を挟みこむようにして姿を表した。自慢のシミターは地面に突き刺し、手に換装されたのは大型の……
「あ、網だと……」
それは漁業用とでもいうべき、巨大な投げ網だった。網の目は恐ろしく細かく、一本一本も見るからに丈夫そうな作り。
斬って抜け出すのは、まず無理だろう。
二人は完全にリンクした動きで俺に向かって投げつけてきた。
直径8メートルはあろうかという所まで放射状に広がった後、俺へと襲い掛かってくる。虚を疲れて出遅れたせいで、地面には完全に逃げ場がない。
くそ、最後の逃げ道ーー上空に敏捷力の限界までジャンプ。つま先を縄の一片が掠ったが、なんとか拘束からは逃れられた。が、
「「拙者たちから逃れられると思うなぁ」」
やはり下からはイスケとコタローがシミターを振りかぶって飛び上がってくる。
タイミングは完全に同じ。片方をやれば、もう片方の攻撃がクリティカルヒットし、空中での防御ではHPを大きく
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