第四章
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「あの星の調査報告はすべきだ」
「それは絶対だ」
「それはしなければならない」
「しかし介入はしてはならない」
「以後も無断での立ち入りは禁物だ」
「密猟者達は出ない様にしよう」
彼等は口々に言った。
「我々は我々の星でも過ちを犯してきた」
「多くの生命を絶滅させ歪な進化を促してきた」
「その苦い経験を踏まえ慎重であるべきだ」
「このことも政府に言おう」
「そして学会にもな」
こう言ってだ、今度は懐疑論者達が言ってだった。実際に母星に帰ってからその様に政府に具申した。
するとだ、この星の統一政府の大統領はこう言った。
「そうあるべきだ」
「その星の生態系に異常を与えない様に配慮しますね」
「これからは」
「そうしていきますね」
「自然は守られるべきだ」
大統領は良識を以て彼等に答えた。
「だからだ」
「はい、ここはですね」
「あの星の調査はこれからも続けますが」
「調査をするだけで」
「介入はしない」
「環境も維持していきますね」
「そうしていこう、あの星を領土にしようにもだ」
このことを検討しようにもというのだ。
「あまりにも遠い」
「はい、実に」
「距離が離れ過ぎています」
「我々も銀河系にいますが」
「あの星は端にあります」
その銀河系のというのだ。
「行くだけでも苦労しましたし」
「我々の現在の勢力圏から離れ過ぎています」
「あまりにもです」
「我々もそれは無理だと思います」
「幾ら何でも」
「そうだな、だからこれまでの調査でもだ」
彼等の勢力圏の外のだ。
「領土に収めてきなかったしな」
「これからもですね」
「そうしていきますね」
「そして今回もですね」
「その様にしますか」
「そうしよう、そしてだ」
大統領はさらに言った。
「あの星への一切の無断での入星を禁じる」
「そしてあの星の自然を守る」
「そうしていきますね」
「そうだ、これからもな」
こう言ってだ、大統領は議会に法案を提出し議会の賛成の後でその星への無断の調査や潜入、生態系への介入を防いだ。そのうえでだ。
彼は調査から帰った学者達を集めて言った。
「素晴らしい調査の結果だった」
「銀河にまた一つ生命の存在する惑星が発見された」
「だからですね」
「このことは素晴らしい」
「そう言われるのですね」
「そうだ、しかしだ」
大統領は年老いた狸の顔でこうも言った。
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