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真田十勇士
巻ノ九十一 消える風その四

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「むしろ幕府と対する」
「左様ですな」
「あの御仁達はそうですな」
「そうした星の下におられますな」
「幕府の方にはつかぬと」
「そうした御仁達じゃ、だからな」
 それでというのだ。
「あの御仁達は戦う」
「幕府と」
「その時が来れば」
「必ず」
「うむ、そしてその時はな」
 まさにというのだった。
「あの御仁達は思う存分戦い天下に名を残されよう、それを見届けてな」
「そしてですか」
「そのうえで」
「世を去ろう、長く人生であるが」
 風魔にしてみればだ、彼はこれまでの人生が充実し後悔するものを感じていないから人生に満足していて長いと言ったのだ。
「その最後にこれ以上はない者を見られるか」
「楽しみにして」
「待たれますか」
「そうするとしよう」 
 最後にこう言ってだ、そのうえでだった。
 風魔は自分達の場所に戻り静かな暮らしを再開した、彼等が箱根から出ることは決してなかった。
 その風魔達と別れた幸村は程なくして九度山に戻った、すると昌幸が幸村に言った。
「御主大助もじゃな」
「はい、物心がつきましたら」
 幸村は父に畏まって述べた。
「色々と教えていこうとです」
「決めておるか」
「左様です」
「そうか、ではな」
 昌幸は我が子の言葉を聞いてまた述べた。
「わしも大助を見たいが」
「父上も」
「御主は甘過ぎる」 
 幸村自身にもこのことを告げた。
「だからな」
「父上は怒り役ですか」
「怒るtもりはないが厳しい者もいなければな」
「締まらないからですか」
「わしはそちらに回りたい」
 こう言うのだった。
「よいな」
「父上がそう思われるのなら」
 これが幸村の返事だった。
「それがしも異論はありません」
「ではな、大助も必ずよき武士になる」
「それがしもそう見ております」
「それには甘さも厳しさも知らぬとな」
「なれぬのですな」
「何でも知らねばじゃ」
 そうでもなければというのだ。
「よき武士になれぬ、わしは鬼の様に厳しくなる」
「わかり申した」
「御主達はそのままでよい」 
 幸村そし十勇士達はというのだ。
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