第四百三十七話
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第四百三十七話 チーズへのこだわり
博士は朝になってだ、研究室に来た小田切君にこんなことを言った。
「わしはワインが好きじゃな」
「色々なお酒飲まれますけれどね」
「一番は何かというとな」
「やっぱりワインですよね」
「そしてワインのあてはじゃ」
つまり肴は何かというと。
「チーズが好きじゃ」
「お肉と、ですね」
「こちらも好きでな」
朝食を食べつつ話す、今日の朝食は白い御飯に納豆、茸とほうれん草のお味噌汁に卵焼き、漬けものに海苔と完全に和風だ。
「そしてチーズもじゃが」
「チーズが何か」
「こだわりがあるのじゃ」
和食を食べつつの言葉だった。
「その時々でな」
「あっ、そうだったんですか」
「うむ、カマンベールなり何でもな」
「普通のスライスチーズでもですか」
「それなりにこだわりがあってな」
「一体どんなこだわりですか?」
「例えばどのワインにはどういったチーズかとな」
そうしたこだわりだというのだ。
「そうしたものじゃ」
「ああ、合うワインとチーズの組み合わせですか」
「チーズといっても多いがな」
一口に言ってもだ、その種類は確かにかなり多い。市販のチーズもスーパーに行けばかなりの数がある。
「それぞれ決めておるのじゃ」
「そこまでされているとは」
「思わなかったか」
「はい、実は」
「まあわし個人のこだわりでな」
「僕にはわからない例えですね」
「わしだけのものでな」
あくまでというのだ。
「まあそういうものがある」
「そこまでワインとチーズの組み合わせにこだわりがあるんですね」
「そうなのじゃよ」
「よくわかりました」
「それで朝は食ったか」
「いえ、まだです」
小田切君は博士のその質問にも答えた。
「それは」
「ではこっちで食うか」
「はい、今から」
「それではな」
こうしてだ、二人でだった。博士も小田切君も一緒に朝食を食べた。その和風の朝食は実に美味いものだった。
第四百三十七話 完
2017・4・16
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