第27話<空母機動部隊>
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「そっか」
(難しい話だな)また半分、私は上の空。
……そんな私に構わず日向は続ける。
「空軍側の暗号解除処理と同時に伝送時の盗聴防止など、その変換処理だけで私一人の能力を越えます」
「要するに無理ってことだな」
別に日向自身に単独で処理して欲しいわけではないが。
その間にも比叡は要撃を継続しながら少しずつ、こちらへ近づいている。
「司令ぇ!」
「おい手を振っている場合か?」
あいつも、夕立に負けずのん気だ。
比叡と島風が境水道で粘ってくれているので意外に敵の航空部隊は、ここへ近寄れないらしい。
既に第二波の敵は、いくつも撃墜したようだ。他の機体は警戒して、やや遠巻きに旋回を続けていた。
その時、夕立が美保湾側を指差して叫んだ。
「キタっぽい!」
比叡の向こう側に、かなり大きな艦隊が見えた。例の大淀さんを中心とした撤収部隊だ。旗艦は大淀さん。補佐が足柄さんで、その後ろに駆逐艦が大挙して航行している。
「けが人二人分の撤収か……大掛かりになるな」
やっぱり捕虜は余計だっただろうか。ちょっと考えてしまう。
一緒に居るのが艦娘でなく人間の部下だったら感情的な反応を示したかも知れない。ただ日向も夕立も私の指示には反発しない。
それが良いのか悪いのか……さすがに戦艦クラスの日向になると何か考えているような表情を見せることはある。
私情と言われても仕方がない。それでも、この深海棲艦は気になる。それに……。
その時、日向が報告する。
「美保関の敵空母機動部隊は、なおも動く気配はない模様」
「あの敵の機動部隊は気になるな」
「そうですね」
日向も同意する。
「敵機にしても、いつものように本格的に攻めて来ないのも逆に嫌な感じだが」
私は腕を組んだ。
「ぽいぽい?」
夕立は安心しきっている。いや、こういうときこそ警戒を怠ってはいけない。
どこかのセミが鳴き始めた。私は帽子の汗を拭った。
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