第46話 大切な誰かの為にできる小さな気持ち
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大自然に囲まれ、その中で生きる動物たち。遠くから聞こえる小川のせせらぎ。
遠くを眺めると、森林はどこまでもどこまでも続き、豊饒というよりも無造作に、枝々は幾重にも折り重なり、法則もなく長く長く伸びているように見える。
……静かだ。
木々がこすれ合う音と動物の鳴き声、川の流れる音。そのすべてが都会の喧騒で疲れ果てた俺の耳を癒してくれるある意味のアロマセラピーとなっている。
どこかの物語の主人公は『森林は嫌いだ』と謳っていた。
けど、俺は嫌いじゃない。そいつにはそいつの価値観があって、俺にも俺の価値観というモノがある。
普段は見ることのない『生きている』という感覚。自然の食物連鎖。俺たちが生きているうえで土台となっている自然を、こうして感じることができるのはいいことだと思う。
真姫の別荘は外見こそ、コンクリート風であるが、内装は木材でできている。
窓から眺められる景色は絶景で、それを背景にしながら俺はせっせとキッチンで下準備をしている。
「ん〜♪」
自分でも、やけに上機嫌だなと思う。
料理そのもの好きだ。母子家庭の笹倉家を家計を管理している母さんはいつも忙しく、俺より先に帰宅して夕飯を作るなんて光景はめったにない。
そんな母さんに代わって俺が料理をしている。今日みたくこんなところで料理ができるのは、あまりない経験な為に、鼻歌を交えるくらい機嫌がいいのだろう。
「ん〜♪」
流石は西木野家。
冷蔵庫の食材は人数分以上のものが揃っているし、種類も豊富な為に何作っても材料が余るくらいだった。とりあえず合宿らしい夕飯にしようと思い、バーベキューを選んだ。バーベキューなので材料を切るだけ……というのも味気ない。
そういうことでバーベキューに使う予定の材料を切り終わったところで次のメニューの下ごしらえを始める。
温野菜のドレッシングかけとかポテトサラダとかのさっぱりした野菜系の料理を並べておきたいところ。
「まぁ……米も炊いておくか。お米魔女の花陽もいるわけだし」
結局大食いぐらいのメンツしかいないのだ、μ`sというアイドルグループには。
花陽はお米があればガッツリ食うし、なんだかんだ言って穂乃果もかなり食う。食の細いにこ真姫絵里でも、野菜なら食えるだろうという適当な予想。
「みんな細いくせして食うんだからなあ。将来あいつらの夫になる男は大変だな」
誰もいないのをいいことに馬鹿にするような発言。
ここに誰かいたら処刑モノだ。
「ま、こんなところだろうか……ちょっと早く準備し過ぎたか」
やはりこういう環境で料理できることが余程嬉しいのか、予定していた時間よりも早く準備を終えてしまった。軽く伸びをして、切った野
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