暁 〜小説投稿サイト〜
SAO−銀ノ月−
悠那
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ないと流すと、今しがた直葉が乗ってきたバスが折り返しの運転を始めたのを見て、キリトに向き直りながら語りかける。キリトのようにバイクでもあれば、わざわざバス移動などしなくて済むのだが、これは無い物ねだりという奴だろう。

「ああ。絶対に手がかりを掴んでみせる。そっちは……」

 こちらもただやられっぱなしではないと、向き直ったキリトの瞳には決意が宿っていた。菊岡さんの手配のおかげで、これからキリトはあの《オーグマー》の開発者のもとを尋ねて、今回の記憶喪失事件のことを問いただすそうだ。

 ……その開発者の教授というのが、あの茅場や須郷を輩出したゼミの教授だというのだから、悪いが疑ってかかってしまう。しかしてそちらはキリトの方に任せておいて、俺はもう一人の手がかりを追うこととなっている。

「ユナのことは……俺がやらなきゃいけないんだ」

 ――先日のボス戦。キリトと直葉の方は例のノーチラスと遭遇し、短い時間ながらも刃を交えたらしい。直葉がいなければ危なかったというのはキリトの弁だか、構わずこちらを直接的に殴ってくるノーチラスを前にすればこそ、直葉に危険だから関わらないように説得できたらしい。幸か不幸かというべきか怪我の功名というべきか、ともかく。

 対して俺とシノンが参加したボス戦は、特に手がかりらしい手がかりは見つけられなかったが、またあの白い少女と対面した。いや、対面したというよりすれ違っただけだったが――おかげで思い出せていた。

 彼女は、『ユナ』だ。

「……」

 代々木の病院から発進するバスに乗りながら、俺は《オーグマー》を起動する。もちろん《オーディナル・スケール》をプレイしようという訳ではなく、呼び出すのは東京都の地図アプリとネットに流れる『白い少女』の目撃情報だ。一度でも目撃された、かつ今なお《オーディナル・スケール》のイベントをしている場所を巡ってあの少女を捜そうと、《オーグマー》が適切なルートを検索する。

 そうしてまず立ち寄ったのは、アスナとともに鳥獣型ボス《ザ・ストーム・グリフィン》を倒し、初めて俺があの少女を目撃した代々木公園。公園の全域を探索するのではとても時間が足りないが、目撃情報があるのは《オーディナル・スケール》が出来る場所――すなわち、通信緩和用のドローンが定期的に飛んでいる場所のみだ。

「イベント中か……」

 それが何を意味しているかは今は分からないものの、とにかく広場で《オーディナル・スケール》のイベントが始まっている今ならば、その白い少女が現れる条件は満たされていた。ゴールデンウィークだけあって広場の見物客は多く、そんな人目につく場所にはいないだろうと近くの細道に入っていく。

「っそ……」

 あまり整備されていない裏道。コンクリートではなく地面が剥
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