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フロンティアを駆け抜けて
スペクタクル・クライシス
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ラティ! 『龍の波動』!」
「ひゅうあん!」

 ジェムが自分の一番の相棒であるラティアスを出し、銀色の波動を放たせようとする。ドラゴンタイプの技ならミロカロスにダメージを与えつつもフェアリータイプを持つクチートは傷つかないと判断しての事だろう。

「ジェムならそう来ると思ったよ。ラティアスに『冷凍ビーム』!」
「!!」

 だが、ラティアスよりも早くミロカロスが口から今度は氷の光線を吐いた。この状況でクチートを救い出すにはクチートが無効に出来るドラゴンタイプか毒タイプの技で攻撃するしかない。そしてジェムの手持ちに毒タイプはいない以上、ラティアスを出してくることは計算出来たことだ。故に先んじて冷凍ビームを撃つことが出来る。ジェムの肩がびくりと跳ねた。

「さあ、クチートを助けたければ『冷凍ビーム』を受けてでもミロカロスに攻撃してみなよ、でないと……」
「やっぱり、そう来ると思ったわ! クー、お日様に『ソーラービーム』!」
「何……!?」

 銀色の波動は蒼い光線と相殺する。ミロカロスには届かない。だがクチートの悲鳴を上げる二つの口から、眩い光が天へと差して――。ミロカロスとクチート両方に太陽の光を濃くしたような光線が降り注いだ。いくら『とぐろを巻く』や『不思議なウロコ』で防御力を上げていようとも、熱湯を自分にも浴びせ続けた上、草タイプの特殊な大技を受ければ耐えきれずミロカロスがばたりと倒れる。クチートも折り重なるようにして気を失った。お互いにポケモンを戻し、ダイバの残りは二体、ジェムの残りは三体。

「なんでわかった? 僕らがラティアスを狙ってたって……」
「いくらあの時みたいにしてもダイバ君は意地悪でやってるんじゃない。私に負けるかもって思いながらも勝つためにやってるってわかるから……きっとこうしてくるって思ったの」
「……そう。憎たらしいくらい強くなったね」
「私が勝ったら、本当に憎まれちゃうのかな……もう一度出番よ。キュキュ、ペタペタ」

 フロンティアに来たばかりのジェムでは考えつかないどころか苦しむクチートを助けるために慌てて攻撃して罠に嵌まっていただろう。あるいはここに来た時は舞い上がっていただけでもともとそれだけの実力はあったのかもしれない。でも今のジェムがあるのは、今までの出会いとバトルがあったからこそだ。ダイバは噛みしめるように呟き、残された二体――ガルーラとメタグロスを出す。ジェムも残る二体、一度は下げたジュペッタとキュウコンを出す。これでポケモンはすべて出そろった。最後にまだ戦える状態のポケモンが残っていた方が、勝つ。

「本来はチャンピオンと戦うまで取っておくつもりだったけど……ここに来るまでの僕の力じゃ勝てなさそうだ」

 諦めの言葉ではなく、むしろ冷
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