スペクタクル・クライシス
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」
「君に何がわかるっていうんだ! パパもママも社長や女優としてすごく偉い立場にいて、それと比べられ続けた僕の気持ちが、ずっとおくりび山に引きこもってた君なんかにわかるわけがない!用意された道を歩き続けた君の事は……絶対に倒してみせる!それが僕がパパとママを見返す唯一の方法なんだ!」
「用意された道って……ダイバ君は何を知ってるっていうの? それを教えてくれれば、私だって……!」
「ジェムが知らなくていい、ここまでで築き上げた君の強さを僕が上回って……僕がチャンピオンに挑む!出てこいミロカロス!!」
ダイバが出したポケモンは、今までジェムの見たことのないポケモンだった。滑らかで光沢のある長い体に、赤と青の混じった装飾を施したような姿はこの状況ですら美しいと思える。ミロカロスは憂うような眼をジェムとダイバ交互に向ける。
「『波乗り』だ!」
「クー、『蓄える』!」
ミロカロスが大量の水を作り出し、大波を起こしてクチートの体を飲み込む。クチートは力を蓄えて踏ん張り、波を凌ぐ。しかし――波が消えた後にあったのは、ミロカロスが長い体をぐるりと巻き付けクチートを締め上げる、見た目の美しさとは裏腹の光景だった。
「クー、『噛み砕く』!」
「無駄だよ、『とぐろを巻く』も合わせた『巻き付く』からは逃げられない! このまま『熱湯』だ!」
「クゥゥゥゥゥ!!」
ミロカロスが口から湯気の立ち昇る水を吐き、逃げられないクチートに浴びせる。無理やり煮え湯を浴びせられ続け、クチートの悲鳴が響き渡る。
「クー! ダイバ君、クーはもう戦闘不能扱いでいいから止めて!」
「駄目だ、止めない! ……思い出させてあげるよ、何も出来ずポケモンが傷つき続けるあの時の恐怖を!!」
巻き付いた上で『熱湯』を浴びせ続ける以上、ミロカロスとて火傷を負う。だがミロカロスの特性は『不思議なウロコ』だ。火傷状態になることで防御力が上がるし、それを前提に鍛え続けたダイバのミロカロスは決してクチートを離すことなく巻き付き続ける。最初に戦った時、泣きながらやめるよう訴えるジェムに構わずメタグロスでラティアスを殴り続けたあの時を疑似的に再現しようとする。
「お互いのポケモンが半分倒れ、決着が近づいたところでこれか……勝負をかけに来たな」
「ここでジェムの心が折れれば確実に勝てる、ジェムのような優しい子供には有効でしょう。……まあ、非情なことですね」
ドラコとアルカが分析する。ダイバの方も半分が倒されていよいよ余裕がなくなったのだろう、手段を選ばないやり方に出たことにジェムはどう思い、どう心を変化させるのか。その答えは――。
「……私は、ダイバ君を信じるよ」
「この期に及んで何を……!」
「出てきて
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