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IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》
【第579話】
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の際は戦わなきゃいけない。 でも……誰かを傷付ける戦いだと思わず、皆を守るための戦いって思えば……ね? ヒルトくんだって、学園襲撃されたら戦うでしょ?」


 楯無さんの言葉に、小さく頷く俺、更に言葉を投げ掛けた。


「だから代表候補生選出は、今の君の立場の延長線上だって思えばいいのよ。 って……君の実力を見せないと、代表候補生にはなれないんだけどね?」


 立場の延長線上――か。

 戦うのは嫌いだ、だが――個人的に、ISを扱えるのに嫌だと言って目を背ける事も俺には無理だ。

 母さんにも散々言われてる事だ――俺の我が儘で戦うのは嫌だと、ごねていてはいつまでも子供だ。


「……まあ、機会があるなら……少しは評価を覆すように頑張りますよ」

「うん。 お姉さんは君が代表候補生に選出されるって、信じてるから」


 柔らかな笑みを浮かべた楯無さん、そして話題を変えるためか手を叩いた。


「さて、この話はお仕舞いにして、お腹の調子はどう? 私特製のおにぎり、あるわよ」


 何処からともなく差し出されたお弁当の中には秋の味覚を閉じ込めた炊き込みご飯をおにぎりにして姿を現した。


「んん〜! 良い香りだ!」


 一つもらおうと手を伸ばすも、楯無さんはお弁当を引いて悪戯っぽく笑みを浮かべた。


「ふっふーん。 食べたい?」

「いや、意地悪しないで食べさせてくださいよ」

「うふふ。 じゃあ変わりに何をしてもらおうかしら」


 悪戯っぽく笑みを浮かべたままウインクする楯無さん。


「もう……くださいって」

「はいはい。 ちゃんとあげるってば」


 言ってから差し出す楯無さん――気紛れでやったのだろうか?

 実は気紛れではなく、好きな男の子に意地悪して構ってもらいたいだけという楯無の心の内だ。

 楯無自身、キスはしても他の子より出遅れているのは事実、少しでもヒルトの気を惹けるのであれば形振り構っていられなかった。

 お弁当のおにぎりを取り、一口食べる。

 おにぎりは米の味を引き出すシンプルな塩が好みだが、この炊き込みおにぎりは正直めちゃくちゃ美味しい。

 二口、三口とおにぎりを食べる俺を満足そうに見ている楯無さん。


「いやぁ、めちゃくちゃ美味しいですね。 正直、また食べたいぐらい」

「うふふ、大袈裟ね。 ……でも、また君の為に作ってあげる」


 照れなのか頬を紅潮させた楯無さん。

 正直、めちゃくちゃ可愛い……。

 もう一つおにぎりを食べようと手を伸ばしたその時、学園内に午後の部の開始を告げるチャイムが鳴り響いた。


「あっ、もう時間か。 ……おにぎり、後でもらいますね?」
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