出会う風と乗り越える壁
出会う風と乗り越える壁A
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「さて・・・・・・と」
執務机に戻り、改めて舞風を見つめる提督。当の舞風は既に敬礼を崩し、あたりを見渡していた。
「気を取り直して、ようこそタウイタウイ泊地へ。あー、舞風だったかな?話は横須賀のおっちゃんから聞いてるよ。1年間だけだけどよろしく頼むよ」
「うん!よろしくね!」
五十鈴が先ほどから険しい表情で提督を睨み付けてくる。新人なのに態度がなっていない、直すように注意しろと目で訴えかけているのがひしひしと伝わってくる。そんな五十鈴の視線にさらされ、提督は苦笑いすることしかできなかった。
「まぁなんだ・・・・・・元気が良くていいじゃないか、な?五十鈴」
とりあえず五十鈴に話を振ってみるが、五十鈴は何も答えずに腕を組んだまま鼻であしらう。そんな様子を見ていた由良がクスリと笑うと、笑顔を崩さずに舞風の方を向く
「元気なのはいいけれど、先輩や提督に対してはもうちょっと丁寧な言葉使いを心がけてね、ね?」
はーい!と舞風は元気よく答える。そんな様子を見て満足げな表情で由良は話を続ける
「じゃあ自己紹介をするね、私は長良型軽巡洋艦四番艦の由良です。で、さっきから腕を組んでムスッとしているのが同じ長良型の二番艦の五十鈴、どうぞよろしくね、ね?」
「長良型・・・・・・ってことは、二人は姉妹艦?」
「設定上は・・・・・・ね」
五十鈴が腕を組んだまま、ぶっきらぼうに答える
「確かに私たちは同じ長良型の二番艦と四番艦よ。でも実際に姉妹ってわけじゃないわ、現に見た目だって全然似てないでしょ?」
「ほへー・・・・・・」
理解したんだかしてないんだかわからないような微妙な返事をした舞風を見て、五十鈴はため息を漏らし提督をじっと見つめる。その様子を見て軽くうなずくと、提督は由良に対してハンドシグナルで指示を送る。指示を理解した由良は執務机の上の電話を取り、誰かに連絡を入れた
「さて、これから舞風はここで生活をするわけだが・・・・・・今は右も左もわからない状態だろう」
「右か左かくらいは分かるよ?」
説明の途中に間髪を入れずに突っ込みを入れられ、思わず話が止まってしまう。五十鈴の鋭い視線が舞風に突き刺さっている。というか舞風はこんなに睨まれているのに何も感じないのだろうか?だとしたら大した大物っぷりである。それかただの・・・・・・
そんな想像を振り払うように短く咳払いをすると、再び話を始める。
「あー、とりあえず話は最後まで聞いてくれ。とにかく、舞風は来たばかりでここについて何も知らない。だから別の駆逐艦に君を案内させてこの鎮守府を回ってもらおうって話だ」
「別の駆逐艦?」
「そうだ、君と同じ陽炎型の駆逐艦にね」
噂をすれば、執務室のドアが軽くノックされる。提
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