その生誕に祝福を
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奴等と出会えて、幸せだなって」
「――――オレ、生まれてよかったなあってさあ。思ったんだ」
日付が変わるまで、あと数分。
マグノリアの名所であるカルディア大聖堂のすぐ近く、とある二階建ての一軒家に、背の高い人影があった。切れそうな外灯が時折強く光って、僅かに人影を照らす。燃える炎のような赤い髪がが眩しくほんの一瞬照らされて、すぐに闇に飲まれていった。
「……」
ドアノブに紙袋の持ち手を引っ掛ける。かさりと小さく立った音に少し身を震わせて顔を上げて、周囲に誰もいない事を確認してほっと息を吐いた。
今、この家には誰もいない。きっと今頃仲間に祝われているだろう。だから直接会えはしないだろうが、それでいい。
「誕生日おめでとう、アルカンジュ。……愛しているよ」
誰にも届かない祝福を囁いて、人影はそっと夜に紛れていった。
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