暁 〜小説投稿サイト〜
Element Magic Trinity
その生誕に祝福を
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、体のあちこちが痛い。走る痛みに少し顔を顰めながら眠気を払うように数度首を横に振って、欠伸を一つ噛み殺した。
いつの間にか眠っていたらしい。ちらりと窓の外を確認すると、すっかり夜だ。腕時計を見ると、既に十一時を過ぎている。ぼんやりと視線を移すと、貰ったプレゼントが高く積み重ねられていた。

「あー…寝ちまったのか」

ぼそりと呟いて周囲を見回す。
アルカはいつも通りにカウンターの、いつもと同じ席にいた。カウンターにはほかにも数人が突っ伏して寝入っていて、アルカと向き合う形でミラも組んだ腕に顔を埋めている。少し目を走らせれば、珍しい事にティアまでもが体を丸めて床に転がっていた。
まあ、仕方ないだろう。朝っぱらから食べて飲んでの大騒ぎ、そこから度々乱闘になったり誰かが歌い出したり、いつもに増して賑やかに騒ぎまくったのだから。この時間になれば、そりゃあ眠くもなる。

「……」

顔だけ向けていたのを、体ごと向き直る。位置的にギルド中を見渡せる、この位置がアルカは好きだった。
大きなイビキを立てて眠るナツ、ハッピーを抱えるルーシィ。パンツ一丁な上に大の字で床に転がっているグレイに、鎧を脱いだワンピース姿でテーブルに突っ伏すエルザ。ルーシィのすぐ近くでルーがすやすやと寝息を立てて、ティアは狼姿のヴィーテルシアを枕にして毛布にくるまっている。そのヴィーテルシアも目を閉じていて、その傍ではクロスが姉同様に体を丸めていた。

「ん、ぐ……」

呻くような声がする。誰か起こしてしまったかと慌てて目線を走らせるが、誰も起きて来ない。

「…まだ、食べられます……むにゃ」

……もしや、と横を見る。どうやら、同じようにカウンターで眠っていたアランの寝言のようだった。寝るまでもかなりの量を食べていたはずなのだが、夢の中でもがっつり食べ続けているらしい。むにゃりと動いた口元が幸せそうに緩められている。きゅるる、と小さく聞こえたのは腹の虫だろうか。

(ナツと大食い対決した上、夢の中でも何か食ってんのか……)

ずり落ちた毛布を掛け直してやりながら苦笑する。ギルドに入った当初は何だか距離のあったアランがこうして馴染み切っているのを見ていると、少し安心した。

「…さて、と」

出来るだけ静かに、音を立てないように立ち上がる。
正直足の踏み場もないくらいあれやこれやと物が散らばっているが、慎重にやれば毛布を取ってくるくらい何とかなるだろう。








「これで全員か」

毛布を取ってきては掛け、取ってきては掛けを繰り返し、最後の一人を見下ろしながら達成感と共に呟く。少しでも気を抜けば派手な音を立ててしまうであろう足元に気を配りつつ、慎重に、それでいて素早く動くというのはなかなかに大変だった。
早々に寝
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