その生誕に祝福を
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「え、おう……?」
何が何だか全く、さっぱり、これっぽっちも解らない。
だが、とりあえず朝食を待つべく、促されるままに席に着いた。考えても解らない事については深く考えない、それがアルカのポリシーなのである。
深く考えない、とはいった。それが自分のポリシーであるとも思っている。
だが、朝食を食べ終えて着替えを済ませるなり、右腕にミラ、左腕にルーが抱き着く状態でギルドまで歩く事になるとは全く思っていなかった。ここまでいろいろ続くと深く考えたくもなってくる。まあ考えても解る事なんてこれっぽっちもないのだが。
「な…なあ、今日どうしたんだ?二人して」
「どうもこうも、ねえ。だよね、ミラ」
「そうね。どうもこうも、ね」
半ば引っ張られるように歩きながら問うが、二人は目を合わせて微笑みながらはぐらかす。ふふ、なんて小さく笑い合っているが、何か面白い事でもあったのだろうか。
いつもの癖で髪をかき上げそうになって、両手とも自由に動かない事を思い出して断念する。
(マジでどうした二人とも、何かあったんだろうけど……あー、オレって本当に察し悪ィなあ…)
二人の様子から見るに、アルカに関係する事ではあるのだろう。けれど思い当たる節は全くない。ギルドに入って丁度何年、という訳でもなく、交際記念日ではない(アルカはそういった記念日をしっかり覚えているタイプである)。
そもそも今日は何日だっただろう。家のカレンダーを思い出しながら一つずつ日付を追って、ふと気づく。
(あ、まあ…強いて言うなら)
アルカの記憶違いでなければ、今日は十九日。
カレンダーのめくり忘れがなければ、今月は六月。
(今日、誕生日か)
そういやそうだったなあ、なんて。
燃えるゴミの日を確認するかのように淡々と、今日が特別な日である事を思い出した。
「よーっす……って、おわあっ!?」
パンパンパンパンパン!と、何重にも重なったクラッカーの音が一斉に響く。びくりと肩を震わせて固まるアルカに、悪戯が成功した子供の様にナツとハッピーがニヤリと笑う。
「へっへー、驚いたか!」
「たかー!」
「随分と間抜け面ね、本日の主役サン?」
「は、主役?…っておい、ルー!」
「はっ、気配消してたのに僕が付けたってバレてるよう!何で!?」
可笑しくて堪らぬとでも言わんばかりに口角を吊り上げたティアの言葉に首を傾げるが、注がれた目線を追って気が付いた。肩からこっそり付けられていた「本日の主役」と書かれたタスキを掴んで振り返ると、タスキを付けた張本人は愕然とした表情で驚いている。
…何でも何も、アルカに気づかれないようにタスキを付けようと思ったら背後から狙うしかなく、今アルカの後ろ
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