第17話『黒獅子と黒竜〜飽くなき輪廻の果てに』
[10/14]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
ファール)の尾』が、シーグフリードを襲う!
これは、『竜の翼―ヴェルニー』・『竜の爪―レイ・アドモス』・『竜の息―メルティーオ』に続く、『竜の尾―クサナギ』だ。
バリィィィィン!!!!
斬鉄――!?
エヴァドニの……刃が粉々に砕け散る。刃の競り合いの結果に銀髪はちっと舌をうつ。
竜具と神剣の相互関係。
神剣とは、ヴァルバニルという黒竜を標的とした『遺伝子破壊能力』である。
同じ竜のゲノムをもつ三つ首黒竜のジルニトラの遺産も、被標的なのは例外ではない。
本来、凱の持つアリファールと、シーグフリードの持つエヴァドニで切り結んだ場合、竜殺しの神剣に軍配があがる――はずだった。
純粋な殺意――
それは、研ぎ澄まされた竜具の殺人具――
流星が大気を切り裂く『裂空』の力学――
大気の断熱圧縮が生み出す『銀煌精』に切り裂けぬものは、この地上に存在しない――
体感温度60度。
刀身温度100000000度。※1
最も固い双頭竜の鱗さえ、果肉のように切り裂く溶解熱――
ヴィッサリオンが忌み嫌う、小さな粒同士をはじき合わせる銀閃の力学。
その光をまとったアリファールを見せつけるように、凱は厳かに告げる。
「次は――その首をもらう」
アリファールの紅玉が、血に飢えた朱黒く染まっている。
綺羅絢爛のアリファールの刀身が、多重の意味で見る者の背筋を凍てつかせる。
ガイ――あんたには……銀閃の悲しい声が届いていないのかい!?
「ガイ!?もうそれ以上戦うのはやめろ!アリファールが泣いているのが分からないのか!?」
「終わりだ――――シーグフリード!」
咬み合わない、凱とフィーネのやり取り。
やはり届いていないのか、凱はアリファールの刃立ちを90度傾ける。それが何を意味するかは明白だった。
怖い―――これ以上、凱の強さを目の当たりにするのは――
あの穏やかな気性を持つ人間が、『簡単に人を殺めてしまう』ようならば、文字通り躯の大地が広がってしまう。
数多の躯の頂に立つ獅子王……ひとりぼっちの『王』――
終焉の女神ティル=ナ=ファに祝福されるたった一人の……『勇者』にして『王』の……
「……ダメだ」
苦しくあえぐように、フィーネは声を絞り出す。これ以上、ガイにあの強さを見せるわけには――
「誰か――!!誰かあの二人をーー!!」
「無理です」
「……お前は?」
突如として背後に現れた人物……紫と朱に彩られた大鎌を担ぎし貴人だった。
フィーネの問いに答えることなく、虚影の幻姫は幻想に秘められた現実を話す。
「あの二人は…
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ