第17話『黒獅子と黒竜〜飽くなき輪廻の果てに』
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はどこからだっただろうか?
剣だけかと思いきや、隙あらば両者は得物で殴ることもためらわなかった。
例えば――アリファールの刃がエヴァドニの刀身でふさがれた場合、『牙』たる刀身を捨て、『爪』たる納鞘で殴打するというように――
ただの鞘と侮るなかれ――竜具故の十分な強度あればこそ、次々と黒衣の男の軽甲冑を砕いていく!
シーグフリードもまた、同じ手を使ってきた。もっとも、こういう殺し合いに慣れているのは、シーグフリードのほうだから。
壁面が次々と羊用紙のように破かれ、床地が連綿と抉れていき、大気が煙を巻いていく!
「うおおおおおお!!」
銀閃が、虚空を彩る!!
壁面――天空――奥床へと、鋭角的な立体機動を得て、獅子は銀髪の悪鬼の腸を狙う!
「――銀輝運翼!!」
敵の認識能力を阻害し、誤認させ、遅延させる機動術――フィーネは凱の動きを目で追うので精一杯だった。
シーグフリードの追求能力も、そこが限界だった――
しかし、生存本能が、銀髪の反射神経を極限までに高めさせた!
(このオレの予測を上回る『竜技』を放ちやがった!)
そもそも、この密閉空間で高機動地戦するものならば、壁面と天井に激突するのが関の山だ。
距離を測り間違え、岩壁に衝突して墜落する燕のように。
『竜の翼―ヴェルニー』を細分化させたもの。『竜の羽毛―リュミエール』だ。
銀閃竜の羽ばたく『翼』の軌跡には、流星のような輝く『羽』が舞い散るという――。
大気光学変換。スラスターたる風影で、大気に散らばる微粒子をコロイド状に凝縮させ、周辺へ散布させる。
これにより、視覚をはじめとした五感的な補足をほぼ不可能にしている。
その幻惑効果は見てのとおり、シーグフリードの行動を遅らせには十分だった。あと一瞼の瞬き遅かったら、確実にガイにハラワタを食われたであろう。
「―――――――――!!」
とうとう『王』は、不殺という『心の檻』から解き放たれた!!
憎悪。嫌悪。殺意。の矢じり。心の弓弦は、眼光とともに大気を振るわせる!
『毛利の三本矢』のたとえ――この堕ちた三本の矢がある限り、凱の破壊衝動は絶対に折れない!
鏡写しのように、斬撃がかみ合う!
今二人が演じているのは、『夜』と『闇』の先を誘う『死』の舞踏会!
せめぎ合う僅かな火花――それが何度カンデラ代わりの『照明』を代替えしたかわからない。
「――嵐薙!!」
瞬間――凱の再び流星に比すべき抜刀術!
鉄塔が横なぎすると錯覚させる……竜の尾を思わせる光の加速質量!
鞘走りを利用した、アリファールの断熱圧縮作用が、『光の剣』となりて光臨した!
熱も光も帯びた『紅白い剣閃』たる『銀閃竜(アリ
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