第17話『黒獅子と黒竜〜飽くなき輪廻の果てに』
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みんなを不幸にしちまう『獅子』としての力なんて……)
『弱者を守る』という意志に反する、『弱肉強食』という摂理への衝動。
身体以上の感覚――衝動が運動能力を超えようとしている。
その為か、身体と体力にズレが生じて息を弾ませる。それは、興奮とは全く異質の『慟哭』だった。
そして―――――
そして―――――
そして―――――
【生命を喰らう最恐の獅子王――――完全覚醒】
その『瞳』は……獲物となるべき存在を逃さぬために――
その『牙』は……獲物を確実に仕留めるために――
その『鬣』は……獲物に恐怖を刻む剣山故に――
その『姿』は……一匹の隼の心を砂欠片のように打ち砕いた。
あれこそが、かつて『第二次代理契約戦争』で、数多の人外、悪魔、魔物、竜を畏怖の念に沈み落とした最強の『獅子王』
凱の焦点に、一切の不用情報は入らない。
一点集中。その言葉にふさわしいほどの、『視野の狭さ』――
一撃必殺。それのみを狙う獅子の『牙爪』――
暗き闇より出でた獅子の瞳は……アリファールの紅玉より赤く、何より、昏く染まっている。
彼の獣の瞳を見たフィグネリアの心臓が――早鐘と警鐘を同時に打つ。
それは……フィグネリアが初めて見たもの……。
『勇者』としてではなく、『王』としての凱――だった。
「今の一撃で、完全に獅子王へ立ち戻ったようだな。なら、本気でやらせてもらうぜ!」
ここから先は……小手先程度の攻撃など無用。
今までが、序盤に過ぎなかったのか?フィグネリアの疑念は純粋な驚愕となって冷や汗を垂らす。時期はまだ『冬』であるにも関わらず。
「はあああああ!!」
黒衣の神剣使いもまた、銀髪の獅子と成りて牙を逆立て襲い掛かる!
先ほど仕掛けた小手先程度と比して、各段に早い。それどころか、研ぎ澄ました殺意の衝動をそのまま体現しているかのようだった。
しかし――完全に獅子王へ覚醒した凱にとって、暗殺めいたその『斬影』は児戯に等しかった。
回避。そして翻す。波打つ海竜の如き『竜舞』の一擲。
(後ろがガラ空きだぜ!!シーグフリード!!)
抜刀という名の竜舞発動――凱の銀閃アリファールの水平横薙ぎの一撃が閃舞する!
「――銀閃殺法!!海竜閃・泡飛沫!!」※3
海にすむ竜が汚れた鱗を洗うために、蜷局を巻いて螺旋するさまからそう命名される。
その飛沫は光華の如き幻惑。熱も光もない、さざ波の『裂刃』。
相手の突進力に、自身の遠心力を相乗させた力学の一撃。それをシーグ
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