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魔弾の王と戦姫〜獅子と黒竜の輪廻曲〜
第17話『黒獅子と黒竜〜飽くなき輪廻の果てに』
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の名にふさわしいのか、月光は二人を照らし出す。
同時に、月を覆う『朧』さえも……二人の頭上に姿を見せた。

開戦――――――
そう告げるかのように、黒衣の人物シーグフリードは剣を無造作に横薙ぎする!

「――『大気ごと焼き払え』――エヴァドニ」

深淵から告げるような斬酷のごとき声紋。
冥府の門から溢れるかのような、黒触炎が『地下だった空間』に溢れ返る!
濁流……にもかかわらず、燃焼の力学は一遍たりとも無駄なく凱めがけて飛び込んでいく!

「――『大気ごと薙ぎ払え』――アリファール!!」

対して、凱も覇気溢れる声で、銀閃に呼び掛ける!
一陣の風のごとき銀閃の弾丸が、銀髪鬼に切迫する!

銀閃と黒炎の均衡―――――!!

だが、その競り合いは一瞬だった。
相殺にして大気の膨張が、戦いの両者を叱咤する!お前たちの力はこんなものではないだろう!?と

「くっ……ガイ!?」
「フィーネ!すまないが少し下がっていてくれ!」
「ガイィィ!!」

黒き髪の隼が獅子を止めようとその名を叫ぶ!

「そうだぞ!女!そのほうが身のためだぞ!」

シーグフリードにはわかっていた。どうせこの『代理契約戦争』に割って入ることなどできはしない――
そのことをすでに知っているから、あえてフィーネに忠告したのだ。

「どうした?少しは反撃しないのか?でなければ、オレの『煌竜閃(バハムート)』がその女ごと巻き込んじまうぜ」

冷酷に告げるシーグフリードの言葉は、正鵠を射ていた。
周囲やフィグネリアを巻き込まないよう、竜具を振るい続ける凱よりも、壁や天井、周囲を巻き込むことに躊躇のないシーグフリードの攻撃が鋭いのは、自明の理だ。
脳天を叩き割る一撃――黒き斬撃が凱の銀閃と交錯する!
紙一重の差で凱は受け止めるも、大気を震わせる衝撃に態勢をよろめかせる!

「ぐあああああ!!」

恐るべき、銀髪鬼の怪力。
踏みしめている地下神殿の踏ん張りがきかず、勇者は遥か後方へ吹き飛ばされる。

「つ……強い!俺の知っているシーグフリードじゃない」
「そいつは違うな。オレが強いんじゃない。貴様が弱くなっただけだ」
「弱い?ガイが?」

そんな馬鹿な……一言でいえばそういう表情のフィグネリアが、凱とシーグフリードを交互に見やる。

だってガイは、野盗の連中を一網打尽にしたんだよ?

飛び降りた絶壁の崖から『隼』のように降昇して、助けてくれたじゃないか?

多くを見なくても、私にはわかる。

あの男は――ただ者――じゃないことくらい。

静止した時間から一瞬、凱の姿は刹那の発生音とともに消えていった。

「はああああああ!」

飛翔――夜の闇へ溶け込むような凱の羽ばたきに、誰もが目を奪われ
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