第17話『黒獅子と黒竜〜飽くなき輪廻の果てに』
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りにやっていける模様。以上――」
報告としては最低の部類なのだが、結果が分かっただけでも良しとしよう。そう解釈する。
「まったく、あいつは何を考えているのかさっぱりわからん」
オーガスタス=アーサーは、シーグフリードの振る舞いにあきれるばかりだ。
「聞かせろ。オーガスタス=アーサー。なぜ貴様らがここにいる?」
凱の質疑はもっともだった。
アリファールの呼びかけに答え、凱はここへ足を運んできた。しかし、このような『顔見知り』に出会うことなど予想しえなかった。。
一人も二人も知った顔に立ち会わせている――それも、フィグネリアの隣にオステローデ主、ヴァレンティナ=グリンカ=エステスまでいるではないか?これが偶然で片づけていいはずがない。
「落ち着けガイ。今からその『依頼主』から話がある」
凱の視界の端には、虚空回廊の出口が開かれようとしている。――
「シーグフリード君――シシオウ君――君達『代理契約戦争』の生き残りには、このような神殿で朽ち果ててほしくない」
「そうか。真の黒幕はあんたか」
凱は底冷えする怒りを押さえながら、黒竜の王の名をつぶやいた。
初めて会うにもかかわらず、頭上の王冠と纏う風格が、その人物だと裏付ける。
枯れたような手に、色抜けした金髪の姿。今この大陸情勢で動ける『王』はあの人しかいない――。
「ヴィクトール=アルトゥール=ヴォルク=エステス=ツァー=ジスタート――」
「手荒な真似をしてすまなかった。だが、余にはどうしても『銀閃の勇者』の力を知る必要があったのだ。許してくれ」
「いますぐに、この場で聞かせてもらおうか。この一見に巻き込まれたのは俺だけじゃない――フィグネリアも……」
凱は我に返る。彼女の名を呼んだ時、今更ながら『王』に立ち戻っていることを自覚したからだ。
―――――ゴン!!
アリファールの『柄』で、己の額部を強打する!
それは、自らを戒める刑罰にして報い。何より、、アリファールの呼び止める声に気づけなかった自分への贖罪だ。
「フィーネも立派な関係者。彼女も同席させるのが条件だ」
――ガイはもどった?戻ってくれたのか?
「……ごめんなフィーネ。俺は……『また』気づけなかった」
今度こそ、戻ってくれた。
優しい声色。自分より相手を気遣う言葉。
間違いない。私の知っているシシオウ=ガイという人間だ。
◇◇◇◇◇
一定期間、殺し合いから小休止を置いて、皆は一同に集まった。
「シシオウ君。突然ですまないが、まずはこれを見てほしい」
懐から差し出して、凱に手渡したのは『一枚の紙きれ』だった。
「……肖像画?」
人間の手
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