第17話『黒獅子と黒竜〜飽くなき輪廻の果てに』
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言葉にするのは、獅子への憎悪。対する獅子は言葉にならないうめき声。
否、言葉にできないのだ。
――――だが、勝負はまだ終わっちゃいないぞ!
その憎悪に近い闘志を秘めたまま、凱は腰に残されたアリファールの『鞘』を――シーグフリード目掛けて投擲。竜具による『てこの原理』が、凱を天然の絞首台から解放させる。
両者、間合いを取り、呼吸を整え、体を取り繕っている。
――――これが……代理契約戦争。
それは、フィーネなのか、ティナなのか、誰が呟いたのかはわからない。
やがて――
冷たい空気の中、獅子はこうも告げた。
「飽いた」
「そうだな」
既に両者は剣をなぞりあって『血の華』を咲かせている。赤い根を張り、力強く。
これが正しき舞踏会の正装。戦場に非礼なき戦装束だ。
「降伏など許さん」
「降伏など認めん」
「「なぜなら」」
同時に地を蹴った。
「「どのみちお前はここで――――――死ぬからだ!!」」
もはや刃の原型をとどめていない二つの得物が――最後の破壊へ挑戦しようとしたその時!!
「やめんか!!シーグフリード――――――――!!」
横手から飛び込んできた轟声が、二人の獅子を一喝する!!
人知を凌駕したあの二人を止めたのは、いかな人物だろうか?やっぱり、代理契約戦争の経験者なのだろうか?
そもそも、声の正体は代理契約戦争の経験者どころじゃない。その人物はむしろ、『戦主犯』なのだから――
「『夜遊び』も大概にしろ!貴様の任務は獅子王の力量を図ることだろうが!!」
聞き覚えのある声……懐かしくとも思いたくない人物。
フィーネは目を見張った。あれほどの殺陣にも拘わらず、彼らにとって遊びの延長に過ぎなかったのか?
「……オーガスタス=アーサー」
凱は彼に振り替える。
「今はクライマックスでいいところなんだよ!帝国騎士団長さんといえど、邪魔はさせないぜ!!」
「……騎士団長?」
フィグネリアは疑問に浮かんだ。国に仕えるべく騎士団の、それも指揮官が一体何の用だ?
思わぬ邪魔で白けたシーグフリードは、つまらなそうにつぶやいた。
「せっかくの勝負に水を差されたな。次の『契約交渉』は次の機会だ。ガイ」
「命拾いしたな。シーグフリード」
「貴様がな」
最後の最後まで、殺しの合い言葉をやめようとしない。その声紋、発音が、相手の存在を否定したがっているのははっきりとわかる。。
「シーグフリード!報告しろ!結果はどうだった!?」
「やれやれ。『勇者』のほうはまったく使い物にならん……が、『王』のほうは………それな
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