第17話『黒獅子と黒竜〜飽くなき輪廻の果てに』
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…ジスタートではなく、『代理契約戦争』の中で戦っています。二人を止められるのは、同じ代理契約戦争を味わったものだけです」
『頂』にいる二人には、『麓』の私たちなど眼中にない。そうつけ加えて――
己が得物を砕かれたシーグフリードは、構えを解こうとしなかった。
――――なぜだ?
「シーグフリード。貴様ら『狂人』は退くことを学ぼうとしないな」
「代理契約戦争に撤退はない。貴様も分かっているだろう?」
――――本当に退く気はないようだな。
不退転の姿勢を続けるシーグフリードを見据えた時、凱の瞳の光が揺らめく。
投合。破壊されたエヴァドニの……それも炎纏いし残骸を凱に叩き付ける。
(見るに堪えない惨めな抵抗『だ』。『ですね』)
フィグネリア、ヴァレンティナの醒めた感想。
だが、凱はあえて避けることなく、みっともないシーグフリードの抵抗を受けて立った。
「……『本能』より『衝動』を選ぶか。それもいいだろう!シーグフリード!」
生存という本能は、生命体が持つべき正常な手段にすぎない。
衝動とは、狂人が持つべき異常な論理行動。
故に、狂人のとるべき選択は唯一『衝動』となる。
アリファールの切っ先が、鋭い光を放ちつつ天を見上げる。
捕えた!!――
華隼と闇竜の姫君たちに繰り広げられる視界は、そう脳へ認識させた。いかにシーグフリードといえど、この間合いなら凱にとって『斬魔の結界』だ。不用意に立ち入れば、『降魔の斬輝』の裁きが下されるのは間違いない。
だが、一足の間合にまで詰め寄ったとき、一瞬シーグフリードの殺気が途絶える――
かすかな違和感を獅子が受け取り、僅かな間隙を銀髪鬼に狙われる。
シーグフリードは『引き金』を引いた。
大気引き裂かれる『弾丸音』――
完全に不意を突かれた。
狂人の流れるような自然な動作。にも関わらず『右腕』の不自然な仕草。瞬間、凱の握られていたアリファールが、虚空の彼方へ弾かれる!
(あれは……銃!?)
ヴァレンティナの表情が驚愕に染まる。だが、彼女の感情動作も構うことなく、シーグフリードは得物を失った凱に追撃を見舞う!
落石を払いのける怪力が、獅子に拳の弾幕を内臓器官に浴びせる!
「かは――――!!!!」
エヴォリュダーの強靭な内蔵機構が、ボロボロに破壊される!
抵抗力を失った獅子は、さらなる追撃を想定する!
左手は『太古より生息するシダ植物』!
右手はそれで獅子の首を締め上げる!
頭上には、『天然の洞柱』を経由??天然の『絞首台』にて決着をつける!
「これで終わりだ!シシオウ=ガイ!!」
「か……ああ……あ……が……あ!!」
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