第八話 神殿にてその十一
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「そしてだ」
「徐々にだよな」
「出来ることが増えればだ」
「また出来ることをしていくか」
「そうして徐々にだ」
「統一をしていくべきか」
「焦らずな。ローマは一日にして成らずだ」
英雄はこうも言った。
「少しずつだ」
「やっていくべきか」
「そもそも建国、統一したうえでのそれが一日やその辺りで出来ると思うか」
「魔法で火を出すみたいにか?」
久志は英雄にややシニカルな口調で返した。
「そうやってか?」
「それが返事と思っていいか」
「ああ、そのままな」
「そういうことだ」
「そうだよな、一日やその辺りじゃ国は出来ないな」
「統一もな」
「じっくりと腰を据えないといけないか」
「俺達の刀剣で魔神は倒せるかも知れない」
レーヴァティン、天羽々斬の二振りの刀剣でだ。
「それはな、しかしだ」
「幾ら刀剣の力が強くてもな」
「それだけで人はまとめられない」
「そうだよな」
「政治が必要だ」
まさにそれがというのだ。
「俺達はそれを学ぶ必要もある」
「一介の学生がか?」
「ある程度はわかっておくべきだ」
「この世界の政治の仕組みがか」
「そうだ、大陸全体の情勢や地理や気候もだ」
「そうしたものを頭に入れてか」
「政治を考える必要もある」
それもというのだ。
「少なくともこの図書館では政治の書もある」
「そういう本も読むべきか」
「嫌か、そうした書を読むことは」
英雄は鋭い目になり久志に問うた。
「それは」
「いや、別にな」
「読めるか」
「大学の総合雑誌位は読むさ」
「文藝春秋や中央公論はか」
「ああ、まあ時々でも読むぜ」
「そうした雑誌を読めるなら大丈夫か」
彼等本来の世界での政治の総合雑誌を読める位ならとだ、英雄も述べた。
「それならな」
「そうした本も結構面白いな」
「同感だ、中にはおかしな意見もあるが」
「そうした本にもな」
「しかしそのおかしいかどうかをわかるだけのものがあればだ」
政治の素養、それがというのだ。
「まずだ」
「こっちの世界でも大丈夫か」
「俺も読めるしな」
「あっちの世界のそうした雑誌をか」
「そうだ、ではこちらの世界の情勢をより細かくだ」
「調べてか」
「そしてだ」
英雄はさらに話した。
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