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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第四十三話 帝国領侵攻
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を注いで一口飲んだ。フーッと息を吐いている。
「はじめてもいいか、レベロ」
「ああ、構わんよ」
レベロとトリューニヒトの会話でも分かる、この二人は対等の関係だ、どちらかが主導権を握っているわけではない。この三人の共通の目的……、さて……。
「ヴァレンシュタイン准将、自由惑星同盟は帝国に勝てるかね?」
「……」
これまた、ど真ん中に直球を放り込んできたな、トリューニヒト。さて、どう答える?
「勝つという事の定義にもよりますね。オーディンに攻め込んで城下の誓いをさせると言うなら、まず無理です。同盟を帝国に認めさせる、対等の国家関係を築く事を勝利とするなら、まだ可能性は有ります、少ないですけどね」
俺の答えに三人は顔を見合わせた。
「軍事的な勝利が得られないと言うのはイゼルローン要塞が原因かね」
「違いますよ、レベロ委員長。同盟は帝国に勝てないようにできてるんです」
俺の言葉にトリューニヒトとレベロの顔が歪んだ。それにしてもどうして対帝国戦って言うとイゼルローン要塞攻略戦になるのかね。条件反射みたいなもんだな、パブロフの犬か。
「仮にですがイゼルローン要塞を攻略したとします。この後同盟が帝国に軍事行動をかけるとすると方法は二つです。一気に敵の中心部、オーディンを攻めるか、または周辺地域から少しずつ攻略するかです」
喉が渇いたな、水を一口飲んだ。レベロとトリューニヒトは先を聞きたくてもどかしそうな顔をしているがシトレは面白そうな顔をしている。やっぱりこいつは性格が悪いに違いない、嫌いだ。サンドイッチを一つつまんでまた水を飲んだ。
「准将、話を続けたまえ」
せっかちな男だな、レベロ。そうイラついた顔をするんじゃない。余裕が無い男は嫌われるぞ。
「一気に敵の中心部を突く、話としては面白いんですが問題は帝国軍の方が兵力が多い事です。正規艦隊の戦力は同盟軍は帝国軍の三分の二しかありません。攻め込めば補給線も伸びますし、軍事上の観点から見た星域情報もない。補給線を切られ大軍に囲まれて袋叩きに遭うのが関の山ですね。少ない兵力はさらに少なくなる。国防そのものが危険な状態になるでしょう」
レベロが面白くなさそうに息を吐いた。そんな様子を見てシトレが含み笑いを漏らした。
「まあ、大軍を用いることで敵を占領できるのならとうの昔に同盟は帝国に占領されているだろう」
分かってるんなら自分で説明しろよ。何で俺にさせるんだ、今度はハムチーズサンドだ。怒ると腹減るな、自棄食いってのはこれか。
「もし万一、同盟が帝国を下したとして、その後の占領計画のような物は有るのですか? 政府は打倒帝国と声を張り上げていますが?」
俺の質問にレベロとトリューニヒトが顔を顰めた。
「残念だが、そんなものは無い」
「嘘はいけません
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