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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第四十三話 帝国領侵攻
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ういうものだからな。俺の答えにトリューニヒトはシトレと顔を見合わせ楽しそうに笑った。
「見事だ、君は軍人より政治家に向いているよ。私もそうしたのだがね、困った事にロボス元帥が私と彼の仲に気付いたのだ」
三角関係か、モテる男は辛いな、羨ましい限りだよ、トリューニヒト君。但し、三角関係を上手くさばけないようではちょっと不安だな。色男としては二流だ。もっとも政治家としては三流だからな、まだましか。
ロボスの耳元で“頼りにしているよ”とか囁いてやれば良かったんだ。豚もおだてりゃ木に登るじゃないがウシガエルは有能な道具になってくれただろう。
「それでロボス元帥は焦ったのですね」
「道具であることに満足していれば良かったのだがね」
「全く同感です」
おかげでこっちがえらい迷惑をした。そしてトリューニヒトはシトレを使って馬鹿な道具を切り捨てたと言う訳か。俺はそのお手伝いをしたわけだな、腐臭が漂ってきた、うんざりだ。
しばらくの間無言が続いた。皆食べる事に専念している。どうやらこの二人も食べていなかったらしい。まさかとは思うが俺を待っていたのか? そう思っているとドアが開いた。
「遅いぞ、レベロ」
「すまんな、シトレ、トリューニヒト。パーティが長引いた」
驚きはしなかった。やはり来たかという感じだ。ジョアン・レベロ、財政委員長だ。まあ戦争には金がかかる、軍と財政は仲が悪いものだが原作では戦争反対派だった、生真面目でその所為で最後は貧乏くじを引いた。
シトレとは幼馴染のはずだ。となるとトリューニヒトとレベロを結びつけたのはシトレか。しかし生真面目な財政家と良識派の軍人が裏で主戦論を煽る扇動政治家と組んでいる? 魑魅魍魎の世界だな。
レベロがトリューニヒトの横に座った、俺の正面だ。トリューニヒトとレベロの間には緊張感は感じられない、ごく自然な感じだ。この二人もかなり以前から親密な関係に有るのは間違いない。となると此処にはいないがホアン・ルイも関係している可能性が有るだろう。
何がどうなっているのか今一つ分からない。レベロとシトレなら分かる、そこにホアンが加わっても分かる、良識派の集まりだ。だがトリューニヒトが絡んでいる、単純な話ではないだろう。
こいつらは何かを目的として組んでいるはずだ。単純に権力の維持が目的というわけではなさそうだ。となると俺を呼んだ理由も司令長官の人事だけではなさそうだな。他に何か有るに違いない。
「君がヴァレンシュタイン准将か。噂は色々と聞いている」
「恐れ入ります、レベロ委員長」
どんな噂だか知らないが碌なもんじゃないのは間違いない。首切りヴァレンシュタインか、血塗れヴァレンシュタインか……。同盟でも帝国でも血腥い噂だろうな。食欲が無くなってきた。
レベロがグラスに水
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