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IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》
【第573話】
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揚げが胃の中に消えていく。


「あ……思わず箸が進んだが、全部食べて大丈夫なのか?」

「無論だ。 私の分はまた別にあるからな」


 柔らかな笑みを浮かべて告げる箒、いつも怒った所しか見てないため、新鮮だった。

 用意された唐揚げを全て食べて俺は――。


「ご馳走さまでした」

「うむ、お粗末様でした」


 しかし、本当に美味かった――また食べたいものだ。

 お腹を擦り、時計を見る――まだ時間に余裕もあり、俺は折角だから聞いてみた。


「そういやさ、話はいきなりブッ飛ぶが何で箒は一夏が好きなんだ?」

「え? ――い、いきなりだな。 き、気になる、のか……?」

「まあな。 勿論離せる所までで構わない」


 顎に指を当て、少し考える箒。


「……簡単に言っても構わないか?」

「あぁ」

「簡潔に言えば、小学校の頃……私が虐められていたのを助けてもらったのがきっかけだな。 ……昔から私は融通も利かなく、ヒルトもわかる通り手が先に出てしまうのだ」


 そういやいつも帯刀してたな、最近は持ち歩く事をしてないが――以前はいつそれで斬られるか気が気でなかったというのは俺の心の内に秘めておく。


「助けてもらったのがきっかけか。 ……まあ後はISの登場で離ればなれだっけ?」

「そ、そうだ」


 要するに、初恋の延長線で子供の頃から好きって事か。


「……だが」

「?」

「だが今は……少しわからなくなってきてる。 好きな気持ちに変わりはないが、逆にいえば……私の一方的な気持ちを押し付けてるだけではないだろうか」


 それに関しては何とも言えなかった。

 とりあえず、俺は箒の頭を撫でる――払い除けられると思ったが、驚いた様な表情を浮かべるだけだった。


「……俺にはわからんが、気持ちに関しては箒が決めることだ」

「……そうだな。 ありがとう、ヒルト」


 気恥ずかしそうに微笑む箒――また携帯がぶるぶる震え始めた。


「もう時間か。 んじゃ、唐揚げ美味しかったぞ。 ありがとうな」


 お礼を言い、急いで俺は食堂を後にした。

 残された箒は――。


「……あまり、私に意識させないでくれ、ヒルト……」
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