第四章 RE:BIRTH
YO・KU・TO
[1/8]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
検体名:YOKUTO
一体いつからこのような名称になったのかは、もはや記述に残っていない。
ただ、われわれの求める人材の名前が、毎回この発音の物だったというのは確かだ。
我らが先祖は、その優れた技術を用いて最高の「兵器」を生み出した。
しかし、兵器は対抗するモノがあって初めて売れるし、使用できる。
毒ガス兵器を作るならば、同時に抗体も作らなければならないのと同じように。
我々は何も世界を滅ぼしたいわけではない。
我々の先祖は作り出した「兵器」はまさに最強だった。
しかし同時に、それだけのものをまた作り出すことはほとんど不可能だとわかった。
少なくとも、人一人の人生の内では。
だから、こうして記録に残して後世に伝わっている。
近代では子供の頭の中に記憶を埋め込んで受け継がせることもやっている。
我々の先祖が目に付けた最初の「兵器」の元は、あの翼人だった。
しかし翼人の存在は先祖から見てもまた、伝説の存在だった。
数年、数十年の探索が行われ、先祖が諦めかけたその時、ついに一枚のサンプルが手に入った。
真っ赤な羽根
数多くの伝説に名を遺す、あの「赤色の翼人」の物だった。
死後、翼人がその羽根にある程度の力を残して消えるという伝説があったが、まさか本当に見つかるとは。先祖の執念に驚かされる。
だが、驚くのは早かった。
翼人のクローンを作ったとしても、その者が翼人になるという事はない。
クローンだとしても、その能力は決して受け継がれないのだ。
その羽根からのデータをもとに他者に力を植え付けようとしたが、とても翼人とは言えない劣化品しか生まれない。
そんな中、数世代ほどの実験を経て、ようやっとして成功と呼ばれる検体を開発した。
そして、先祖はそれを即座に殺した。
成功と「呼ばれる」程度ではだめだ。完全に「成功した」と言えなければならない。
先祖は妥協しなかったし、我々もその意思に賛同し、尊敬する。
何事も中途半端は良くない。
そうして、さらに数世代を経てついに「成功した」と書かれている。
感情を司る翼もしっかりとあったらしい。
しかも「赤色の翼人」が所持していた世界四剣の所有者として復活させられた。
これはものすごいことだ。
どれだけ気の遠くなるような実験を繰り返したのだろうか。
色は少しくすんでいたそうだが、それでも「翼人のクローン」を作り出せたのだから。
しかし起動実験でいきなり暴走(意識はあったようなので厳密には好き勝手暴れただけだろう)してしまった。
結果として11の世界が消えてしまったらしい。
我々の先祖は反省した。
兵器には対応するモ
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ