第四章 RE:BIRTH
「死」という恐怖
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がグリンッ!と頭はそのままに胴体をこちらに向けてスバルに向かって振り突きを腹に放ってきた。
蒔風の首からゴキボキと骨の砕ける音がした。
「ひッ!?」
《Protection!!》
その姿に戦慄し、スバルの動きが一瞬止まる。
それを察知したマッハキャリバーが魔力バリアを展開させ、その拳を受け止めさせた。
しかし、拳の威力は絶大であった。
横薙ぎに振られた振り突きが、そのバリアを砕いて突き進んできたのだから。
だがそれにも意味はあり、蒔風の振り突きがスバルの腹をかすめ、少し肉を抉る程度に済む。
もう少し下がるの遅ければ、スバルは腹を削り取られ、腹から内臓をこぼして死んでいただろう。
だが恐ろしいのはそれではない。
今それよりも恐ろしいのは、首があらぬ方向を向いてブラブラしているにもかかわらず立ち、スバルに向かって拳を向けているままの蒔風である。
首が回らないと判断したのか、身体を後ろに向け、両眼をこちらに向ける蒔風。
しかし破壊された頭部ではそれが限界だったのか、身体が前に向かって倒れた。
「ぅ・・・あ・・・・・」
彼女はレスキュー隊員だ。
望む望まずにかかわらず、人の「死」というのは見てきたつもりだった。
目の前で絶たれる命だって、いくつだってあった。
しかしむしろこれは「死はない」という分、さらに惨たらしいもの。
彼女はレスキュー隊員だ。
|命を救う人間(レスキュー)なのだ。
その為の障害は取り払うものの、決してそれは目的ではない。
彼女はもしかしたら、今回来た中で一番「敵を倒す」事に向いていないのかもしれない。
「スバル!!大丈夫!?」
「ティア・・・・・」
「ボケッとしないで!!立てる!?来るわよ!!」
「だ、大丈夫・・・・・大丈夫!!!」
しかし、それでも立ち上がるだけの強さを彼女は持っていた。
身体は傷つき、出血も多いが、それでも立った。
身体を染める赤は、彼女の物よりも相手によるものが多い。
あれは偽物。あれは嘘。
そう思うことで、次の敵に向かって行く。
だが、これから倒す相手も、また同じ顔なのだ。
それも、さっきのと同じような死に方をするだろう。「死」を無視した、「命」を捨てた攻撃。
だから、アリスは最初こそ四人を相手にしていたのだ。
一人が一人、倒すのならば然したる問題ではない。
しかし、一人が同じ人間を何人も殺すのは、決してまともな状況ではない。
たとえ相手が偽物だとわかっていても、その死に顔は蒔風の物なのだ。
たとえ相手が偽物でも、その「死」は決して偽りではない
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