第一章
[2]次話
青い珊瑚礁
アイドルの嶋方香織はその仕事の話を聞いて思わずマネージャーの金丸芳美に問い返した。
「ニューカレドニアじゃなくて」
「そう、ガダルカナルよ」
芳美は平然として香織に答えた、そのやや面長で形のいい顎と小さな赤い唇にアーモンド形の二重の目を持つ彼女を。眉は奇麗な細いカーブを描き髪は黒のショートヘアだ。背は一六五で胸は大きくウエストはくびれている。尻の形も脚のラインもいいのでグラビアとドラマの仕事がメインだ、そして今はグラビアの仕事だった。
そのグラビアの仕事で行く場所がだったのだ。
「あそこよ」
「何でガダルカナルなの?」
「あそこも南洋でしょ」
「だから海が奇麗だから?」
「そう、だからね」
まさにそれが理由でというのだ。
「あそこになったの」
「いや、南洋っていったら」
香織は眉を曇らせて芳美の知的でしっかりした感じの顔を見つつ言った、芳美は芳美でスタイルがいい、ズボンとブラウスの服装がよく似合っている、しっかりとした目と唇がやや茶色にした長い髪によく似合っている。
「やっぱりね」
「ニューカレドニアっていうのね」
「それかタヒチか」
「実は最初はタヒチって思ってたの」
「やっぱりそうじゃない」
「けれどね」
ここでこうも言った芳美だった。
「実はバラエティの仕事も入って」
「バラエティの?」
「そうなの」
「ドラマじゃなくて」
香織は自分のグラビア以外のメインの仕事のことも聞いた、ある特撮番組にデビューした時にゲストで出て演技力が注目されてからそちらもメインの仕事の一つになって来期の連続ドラマでもレギュラーが決まっている。
「バラエティの」
「そう、密林に入ってそこを探検してね」
そうしてというのだ。
「謎の怪獣を発見するっていうね」
「ガダルカナルにいるの?」
「それがいるらしいのよ」
「初耳だけれど」
首を傾げさせてだ、香織は芳美に返した。
「それは」
「そうでしょ、本当かどうかわからないけれど」
「それでもなの」
「最近そうした噂がネットで話題になっていて」
「どんな怪獣なの?」
「恐竜みたいよ」
こうした未確認動物の定番である。
「トリケラトプスとかね」
「本当に出るのかしら」
「さあ、けれどその謎の怪獣を探す為に」
「ガダルカナルなの」
「ひょっとして幽霊かも知れないけれど」
ガダルカナルが第二次世界大戦の激戦地だったことからだ、芳美は香織にこうも言った。
「まあそれはそれでね」
「番組のネタになるから」
「だからね」
それでというのだ。
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