第二章
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「林檎は赤いの?」
「ええ、どのスーパーでも八百屋さんでもね」
「林檎は赤いのね」
「ええ、バナナは黄色でオレンジはオレンジ色で」
「林檎は赤いの」
「日本じゃそうよ」
「そっちの林檎が多いのね」
カレンはパンを牛乳で食べつつ応えた。
「これは思ってもいなかったわ」
「ううん、私もね」
言われる由実奈もだ、カレンにまさかといった顔で返した。
「それはね」
「思わなかったのね」
「林檎はね」
それこそだ。
「どの国でも赤いのが多いって思ってたわ」
「そうなのね」
「緑の林檎もあるし黄色い林檎もね」
「黄色もあるの」
「ええ、あるわ}
由実奈は名前は知らないがジョナゴールドという種類である。
「その林檎もね」
「そうなのね」
「けれど一番多いのは」
「赤い林檎なの」
「そう、それでね」
だからだというのだ。
「イギリスの事情は知らなかったし考えていなかったけれど」
「どの国も赤い林檎が多い」
「そう思ってたわ」
「成程ね」
「それが違ったのね」
「そうね」
カレンも由実奈のその言葉に応えた。
「それぞれの国で」
「緑の林檎は殆ど食べたことがないわ」
由実奈は林檎は結構好きで家でもおやつとして結構食べるがだ。
「あまりね」
「そうなのね」
「赤い林檎ばかりよ」
「それで美味しいの?」
かなり真剣な顔でだ、カレンは由実奈に林檎の味について尋ねた。
「赤い林檎は」
「ええ、美味しいわ」
由実奈は微笑んでカレンに答えた。四分の一にスライスされた赤い皮がそのままある林檎を見ながら。
「それは確かよ」
「それじゃあね」
「食べてみるのね」
「林檎好きだから」
その色に関係なくだ。
「だからね」
「そう、それじゃあね」
「最後に頂くわ」
デザートとしてだ、こう言ってだった。
カレンは実際に最後に林檎を食べた、その赤いそれを。
そして給食の後だ、昼休みに図書館においてだ。カレンは由実奈に一緒に日本の本を読みつつ言った。
「美味しかったわ」
「そうなのね」
「ええ、赤い林檎もね」
微笑んでの言葉だった。
「そうだったわ」
「そうでしょ、赤い林檎もね」
「美味しいのね」
「そうなの」
「緑の林檎とは味が違うけれど」
それでもというのだ。
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