第四話 災厄に魅入られし少女の着任
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叩き割られており、カーテンも引き裂かれたものや焼け焦げたものが残されている。
おそらくこの鎮守府に所属する艦娘の仕業だろう。
「……これは酷い有り様だね」
時雨が執務室の光景を見てそうつぶやく。かなり長い間放置されているらしく埃っぽい臭いが充満し、書類やインクは変色している。榛名と夕立はこのことが信じられないのか、呆然としていた。
凰香は執務室の中へと入っていく。それに続いて防空棲姫、時雨、榛名、夕立もあとに続いて執務室の中へと入ってきた。
凰香達は執務室の中を見回す。すると床にぶちまけられた書類の中に写真が貼り付けられたものがあるのを見つけた。
「やれやれ。大事な書類を床に放置するなんて、無くしたりしたらどうする気なのかしら」
凰香はそうつぶやきながらしゃがみ込み、その書類を破らないように注意しながら引き抜いてその書類に目を通し始めた。
「………駆逐艦、電』
どうやらこの書類は艦娘の個人情報みたいなものらしい。
写真にはカチコチに固まった少女が写っており、かなり緊張しているようだ。
「戦果も書いてある……」
凰香がその戦果を見ようとしたときーーーー
「Fire!」
ーーーー突然背後から怒号が聞こえてきた。それと同時に埃の臭いに混じって、微かに火薬の臭いが漂ってくる。
今まさに何者かが凰香達に向かって砲撃しようとしていた。
すると時雨も火薬の臭いを感じ取ったらしく、太ももに付けていた鞘からコンバットナイフを抜き取り、背後に向かって投げつけた。
ーーーードガァァァァン!!ーーーー
時雨が背後に向かってコンバットナイフを投げつけた瞬間爆発が起こる。爆風によって床にぶちまけられた書類が吹き飛び、煙が凰香達に襲いかかってくる。榛名と夕立は爆風と煙から腕で顔を守るが、凰香と防空棲姫、時雨は顔を守らずに背後の方を向いた。
「そこにいるのはわかってマース。出てこなければ執務室ごとふき飛ばしマスヨ?」
扉の方からドスの効いた声が聞こえてくる。どうやら凰香達を侵入者と勘違いして砲撃してきた艦娘のようだ。
凰香は扉の方に向かって言った。
「建物内で砲撃してくるなんて危ないですね」
「Shut up!!駆逐艦の子から怪しい人物達がいるという報告があるネ!!機密保護の為に、これより侵入者を排除しマース!!」
声の主は聞く耳持たないといった感じでそう言ってくる。侵入者を即刻排除しようとする姿勢は褒められるものであるが、相手の言葉に一切聞く耳持たないというのは褒められたものではない。
凰香はため息を吐くと、右腕を思いきり振るった。執務室に充満していた煙は凰香が右腕を思いきり振るったことで巻き起こった風圧
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