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艦隊これくしょん 災厄に魅入られし少女
第四話 災厄に魅入られし少女の着任
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もういない。人間達を敵視することはあっても、少なくとも雰囲気はいい方向へ変わるはずだ。しかし、榛名と夕立曰く「雰囲気が変わっていない」とのこと。つまり、この鎮守府は未だに前任者がいた時の状態が続いているということになる。

「……これはちょっとキナ臭いわね」

榛名と夕立の言葉を聞いた防空棲姫が真剣な表情でつぶやく。
それを聞いた凰香は頷いて言った。

「うん。………でもまずは秘書艦と会ってみないとどうしようもない」

今この鎮守府は前任者の秘書艦だった金剛型高速戦艦の一番艦『金剛』が提督代理として鎮守府を指揮及び運営している。その金剛が何を考えて指揮及び運営をしているのかがわからない限り、凰香達は手を打つことができない。

「とりあえずここにいても仕方がないから、そろそろ行こう」

凰香は時雨達にそう言うと、先ほど艦娘と思われる少女が出てきた建物の中へと入っていった。
建物の中は随分年季が入っているもの掃除が行き届いているようで、旧泊地よりも断然綺麗だった。まあ旧泊地はあの広さで住んでいるのは凰香、防空棲姫、時雨、榛名、夕立の五人のため、掃除が隅々まで行き届かないという理由があるのだが。
そんな凰香達は金剛がいると思われる執務室を探して建物の中を進む。本当なら榛名と夕立に案内してもらえばすぐにたどり着けるのだが、今の榛名と夕立はあくまで『海原黒香によって建造、改装された艦娘』である。そのためすぐに執務室にたどり着いてしまうと不審に思われてしまうため、建物内を軽くうろつきながらさりげなく案内してもらっているのだ。
その途中で艦娘と思われる少女達と出会うが、凰香と目が合った瞬間脱兎の如く逃げられてしまうため、その反応が面倒になった凰香は途中から見つけても一切興味を示さないことにした。
そんなことを繰り返しながら進んでいくと、ようやく『執務室』と書かれた部屋にたどり着いた。
凰香は扉を開けようとして、ドアノブがところどころ凹んでいることに気がついた。ただ握って開けただけならここまで凹むことはない。

(相当恨みがこもっているみたいね)

凰香はそう思いながらドアノブを握り、扉を開けた。

「………うわ」

執務室の中を見た凰香は思わずそうつぶやいてしまう。
凰香の目に飛び込んできたのは、執務室と呼ぶには程遠い荒れに荒れ果てた光景だった。
重要な書類が収まっていたであろう本棚は全て倒され、床一面には書物がぶちまけられていた。砲撃までもがあったのか、黒焦げているものまでもがあった。
提督が常に座っていたであろう机は乱暴に押し倒され、机の上に乗っていた羽ペンやこの付近の海図、コンパス等は本棚に押し潰されたり、誰かに踏まれたりなどで粉々に壊れていた。
窓も全て
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