第四話 災厄に魅入られし少女の着任
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りていった。
………
……
…
「やっとたどり着いたわね」
幽体化している防空棲姫がそう言う。凰香達は榛名の案内によって、鎮守府の前に立っていた。
鎮守府の建物はかなり年季が入っているらしく、古ぼけた門の隣には潮風によって錆びついた鉄のプレートがあり、かろうじて『佐世保第十三鎮守府』と読むことができる。その門の向こうには旧泊地のように雑木林が広がっている。軍事機密故に人工的に植えられたのかもしれない。だが鎮守府の看板とも呼べる門をここまで蔑ろにしている辺り、どれほど問題なのか想像するのも難しくなかった。
凰香はチラリと榛名と夕立を見る。二人とも脱走した場所に戻ってきたため、緊張した表情になっている。
凰香は時雨達に言った。
「じゃあ、行くわよ」
凰香がそう言うと、四人が頷く。それを見た凰香は古ぼけた門を開け、敷地内に足を踏み入れる。それに続いて時雨、榛名、夕立も敷地内に足を踏み入れ、防空棲姫は古ぼけた門をすり抜けた。敷地内に入った凰香達は雑木林の中を歩いていく。しばらく歩いていくと、少し先に開けた場所が見えてきた。
それを目指して雑木林を抜けると、コンクリートでできた旧泊地の建物とは違う、古ぼけながらも重厚感溢れるレンガ造りの建物や木造の建物などが悠然と佇んでいる鎮守府が広がっていた。
海に近いこともあり、空気には嗅ぎ慣れた磯の香りが混じっている。田舎の鎮守府ということもあり、探索するにはちょうどいい広さの森があり、建物の近くには自然のものである小川が流れている。
横須賀第四鎮守府に比べるとこちらの鎮守府は小さいが、閉塞感のようなものは感じられない。まあ旧泊地に比べれば全然大きいのだが。
「ーーーー」
遠くの方から微かに人の声が聞こえてくる。一人の声と後に続く複数の声から、おそらくここに所属している艦娘達が訓練をしているのだろう。レンガ造りの建物からは絶え間なく金属音が聞こえてくるため、レンガ造りの建物は工廠なのだろう。
一見する限り『ここが本当にブラック鎮守府なのか?』と思わせるほど、粛々とした雰囲気が辺りを包んでいた。まあ凰香はそのことに関しては全く気にしていないのだが。
凰香達は工廠らしき建物の脇を通り、学校のグラウンドに似ている広場を横目に本部らしき木造の建物へと向かっていく。途中遠目に訓練中の小学生や中学生くらいの艦娘達の姿が見えるが、訓練の邪魔をするわけにもいかないので話しかけようとはしない。
すると凰香は榛名が難しい顔をして首を傾げていることに気がついた。
凰香は榛名に聞いた。
「榛名、難しい顔をしてるけどどうかしたの?」
「あ、いえ、大したことじゃないんですけど、少し気になることがあって………」
「気になること
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