第四話 災厄に魅入られし少女の着任
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凰香は頭の中で防空棲姫にそう答える。
今佐世保第十三鎮守府についてわかっていることは、艦娘達は提督を敵視していること、追い払うためなら躊躇せずに武力を持ってくること、そして榛名から聞いた『枷』とも呼べる規則。まあこの規則を決めた二代目提督はすでに更迭されているため、規則は無くなっている可能性が高い。そのため、凰香のやるべきことは艦娘達の心を開くことである。
だが、凰香は一つだけ疑問に思っていることがあった。それは古株の艦娘達のことである。榛名を始めとする二代目提督しか知らない艦娘達の反応はともかく、榛名よりも以前にいる古株の艦娘達は凰香の父親である初代提督のことも知っているため、提督を敵視しにくいはずである。だが着任しようとした提督達を半殺しにしてまで追い払っている。なぜそこまでして提督を敵視しているのかが凰香にはわからなかった。
(何にせよ、私のやるべきことは艦娘達の心を開くことね)
凰香がそう思っていると、バスを運転していた憲兵が言った。
「そろそろ到着しますよ」
「あ、わかりました」
凰香はそう返事すると、凰香にもたれかかって眠っている時雨を起こす。
「時雨、もう着くよ」
「うん………」
「榛名と夕立も起きて」
「はい………」
「ぽい………」
凰香に起こされた三人が眠そうに眼を擦る。するとちょうどバスが停車した。
凰香達はバスを降りると、運転していた憲兵に言った。
「ここまでわざわざ送っていただき、ありがとうございました」
「いえいえ、これが私の役目ですから。では、お気をつけて」
憲兵がそう言って敬礼してくる。凰香達が敬礼を返すと、バスは茶色い土煙を上げて走り去っていった。
凰香達はバスを見送ると、スマホを取り出して地図アプリを起動させ、現在位置を確認する。
凰香達が今いる場所は鎮守府から数km離れた小高い丘だ。ここから海沿いに山道を下りていくと、鎮守府に一番近い街に出て、さらにその先を進んでいくと佐世保第十三鎮守府にたどり着くようだ。
時間は午後2時。これなら鎮守府に着いて挨拶回りはできそうである。
凰香は榛名と夕立を見た。榛名と夕立は哀愁に満ちた表情となっていた。まあ彼女達からしたら、ここは嫌な場所であり出来ることなら二度と戻りたくなかったに違いない。
だが凰香についてきたからにはそれと向き合わなければならない。まあ彼女達もそれを覚悟の上で凰香についてきたわけだが。
凰香は榛名と夕立に言った。
「榛名、夕立。悪いけど鎮守府まで案内してもらってもいい?」
「わかりました。……ではついてきてください」
凰香がそう言うと、榛名が頷いて歩き出す。凰香達は榛名のあとに続いて山道を下
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