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艦隊これくしょん 災厄に魅入られし少女
第四話 災厄に魅入られし少女の着任
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す。皆が辛い目にあっているのに自分だけ良い思いをするなんてできません」

榛名と夕立が真剣な表情でそれぞれ答える。榛名は自分の姉の真意を確かめるために、夕立は苦しんでいる仲間を助けるために凰香達と共に佐世保第十三鎮守府に戻ると決意しているようだ。
それを聞いた海原少将が言った。

「……そこまで言うのなら、私は君達を止めはしない。ただ、これだけは耳に入れておいてほしい」
「一体何かしら?」
「君達を佐世保第十三鎮守府に着任させるわけだが、上層部が何か良からぬことを企んでいるようだ。十分に気をつけてくれ」
「上層部って、君も上層部じゃないのかい?」

海原少将の言葉に時雨が首を傾げる。すると海原少将が苦い顔をして言った。

「確かに私も上層部の一人だが、今回は私よりも上………つまり大将クラスが決めているようだ」
「なるほどね。まあ、気には留めておくわ」
「ああ。私も出来る限り手助けはするつもりだ」
「いや、今はまだやらない方がいいわ。多分今の状況だと変に反感を買うだけだから」

防空棲姫がそう言ってくる。確かに彼女の言う通り、佐世保第十三鎮守府にいる艦娘達は人間を敵視し、着任しようとした提督達を半殺しにして追い返すほど嫌っている。
凰香が追い返されずに済んだとしても海原少将からの手助けがあるとわかれば、余計に反感を買ってしまい、最悪艦娘達を助けることができなくなる可能性もある。
凰香は防空棲姫に続いて言った。

「とりあえずまずは私達だけで頑張ってみる。私達だけでも手の打ちようがなくなったときは頼らせてもらうから」
「……そうか。では当面は手助けはしないが、それでいいな?」
「ええ…………じゃあ、そろそろ時間だから行くわ」
「ああ。健闘を祈る」

海原少将がそう言って立ち上がり、敬礼してくる。凰香達も海原少将に向かって一斉に敬礼を返す。そして背後に振り向き、執務室を出ていく。自分達が着任する場所ーーーー佐世保第十三鎮守府に向かうために。


………
……



横須賀第四鎮守府を出た凰香達は海原少将が用意してくれたホテルで一泊した後、軍専用のバスに乗って佐世保第十三鎮守府に向かっていた。時雨達の艤装や着替えなどの手では持っていけない荷物はすでに海原少将が鎮守府に送ってくれているらしい。
横須賀第四鎮守府からかなりの時間を移動しているため、時雨は凰香の肩にもたれかかり、榛名と夕立はお互いにもたれかかって眠っている。

「………」

時雨の頭を肩に預けながら凰香が窓の外の景色を眺めていると、頭の中に防空棲姫の声が聞こえてきた。

『どうかしたのかしら?』
「(……いや、今後について考えていただけ)」
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