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その日はいつかやって来る

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! ここ浄化されたままなんだぞっ! 魔族も人間も入れない聖地に入って、その上、魔王にならないと封印解けないんだっ! どうやって開けろって言うんだっ?」

 確かに… 私自身も堕落していたからこそ、この中で生きていられたのだ。 もう一度最初から闘って、ここに入って魔王になったのか?

「一人では大変だと思いましたから、仲間の皆さんが一緒に生まれて来るよう、召還しておきました」

 泣きながら笑っているルシオラが、この状況を説明した。 そうか、あの人の求めていた答えはここにあったのだ。

「クッ、クククッ… くっ」
「おい、何笑って…、泣いてるのか?」
「うるさいっ」

 それは禁忌を平然と破る者が行使する天上の力。 魔族でもない、神族でもない、愛情と言う言葉の意味を知ってしまった私と、あの人の間に産まれた子供が起こす奇跡の力、それが全ての答えだったのだ。

「これで、これで良かったんですよね…」
「そうだ… これ、で…」

 このバカ娘も必死に闘っていたのだ、自分の夫であり、血の繋がっていない父のために人生の全てを犠牲にして。

 完敗だ、あの人が千年かかって成し得なかった事を、こいつは生まれてからたった数十年で成し遂げたのだ。 女王の座は譲ろう。

 あの人もこうなる事を知っていたのだろうか? いや、そんな迂遠な計画を練る人ではなかったな。 悪く言えば… そう、マヌケな人だった。 だが、ちょっと待て?

「一つ聞いていいか?」
「え? ああ」
「この地域の魔王になるには、前の魔王、つまりルシオラを倒さなければならない。 どうやって闘った?」
「へっ?」

 これは何か、やましい事がある時の表情だ、女の勘を侮るなよ。

「いや、この人数で押しかけたから、すぐ降参って…… なあ」
「ええ、女王様って最初から優しかったですよ。 この街から出発する時も、装備やお金を下さったり、人間界や天界に行く時は、逆天号を貸して下さったり」
「そうか… 「勇者ヨコシマ」が16歳の誕生日の時に、女王に謁見して「仕度」までしてもらったんだな」
「ど、どうしてそれを?」
「顔に書いてある」

 だから顔を拭くな、そうじゃない。 百年も一緒に暮らして、何を考えているか分からなくてどうする。

「そうですよ、最初に謁見した時、「女王様っ、好きじゃーっ!」って抱き付いてくれましたから、そのまま寝室に誘って、初体験から怪我をした時の回復まで、全部面倒を見させて貰いました」
「「「「「何ぃいいいいっ!」」」」」
「ヨコシマ殿… 私とは前世からの約束があったのでは無かったのか?」
「あ〜っ、それ私にも言った〜〜っ」
「ひどいですっ、ヨコシマさんっ」
「せ、先生… 拙者と言うものがありながら…」
「初めてはわたし
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