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その日はいつかやって来る
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 永い夢だ… そう、私はもう、これが夢だと気付いている。 今も目の前で私が眠っていて、あの人が何かを語りかけている。

「なあ、ルシオラ、お前にこんな重荷背負わせて悪いと思ってる。 だけどあいつが俺に伝えたかった事を、お前が言ってくれたみたいに、今度はお前があいつに伝えてくれ」

 涙を流しながら、まだ産まれていないルシオラに向かって、何かを語り掛けるあの人。

「もう俺達、二人とも終わりにしたいんだと思う。 今度は俺に代わって、ワルキューレが全部悪い役やってくれたけど、俺はあいつに、ずっとあんな事をして来たんだな、だったらお前やメフィストを取り上げられても仕方無いよな?」

 ならば何故その悲しみを私に分け与えてくれなかったのだ、人間の夫婦とは苦しみをも分かち合う物では無かったのか?

「あいつに会ったら言ってくれ「悪かった」って、「許してくれなくてもいいから、今度こそ二人とも消えよう」って。 この宇宙が力を失わないための、新しい摩擦は別に用意するから、心配するなって言っといてくれよ」

何かを決心したようにあの人が立ち上がり、右手に念を込めて胸に当てた。

『抜魂の法により、汝ルシオラを我が身より引き離す。 ぐふっ! ゲホッ、ゲホッ!』

 そうか、あの人が力を失ったのは、ルシオラが産まれたからでは無かったのだ。 自分で引き離し、この儀式によって全ての魔力を分け与えたからだ。 でも、でも私はそのために……

「さあ、これでお前は生まれ変わる事ができる。 文珠も一杯用意した、ワルキューレは眠ってて覚えてないだろうけど、他の兄弟にも願いを込めて来たから、みんな強くなってる。 だけどこれは、お前が生まれ変わる時のためにに貯めていた太極珠だ。毎年、お前の命日に作って来たから千個以上あると思う」

 その願いが私の子の強さだったのか… その太極珠がルシオラの力だったのか……

「だからお前は、とんでもない力を持って生まれて来る。 きっと苦しいよな、友達なんかできないかもな… でも、もし同じ事が続くようなら、俺達二人とも魂ごと消滅させてくれ。 神様でも魔王でも誰にも復活できないように粉々にしてくれっ! もう絶対に生まれ変わって来れないようにっ!」

 広い寝室の中に太極珠が浮き上がって行く。 その全てに、あの人の願いが二文字づつ込められていた。

『俺達の願いは、平凡で幸せな人生を送る事。 でなければ、この苦しみの輪廻から抜け出し、永久に消え去る事! 今宵我が魔力と、家臣どもの儀式を用い、太古の呪いを解き、全ての業と輪廻の輪を断ち切る者を作らんとす!』

 まさか全部同時に発動させるつもりなのか? この時、私を眠らせたまま、ルシオラのために、とてつもない儀式が行われていたのだ。

『こ… この力が… 因果
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