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とめ上げ、歯向かう者を全て倒せる存在。 ではどちらも不適格だ。
タマモはあの人が死ぬ時、狂ったように殺戮を楽しみ、この国の全てを焼き尽くすだろう。 自分自身も破滅させ、全ての者にあの人との殉死を強いるように。
ルシオラは、誰とも争わない。 本当に虫すら殺せず、言い争いすらしなくなった。 あいつの怒りが一定のレベルを超えると、その相手は塩の柱になる。 浄化され、その魂すら失われるのだ。 力だけは申し分ないが、統治者にはなれない。
そしてある日、子供を産める体になったルシオラは、あの人と結ばれた……
どの女の部屋にもいなかったあの人を探すうちに、嫌な予感を感じてルシオラの寝所に乗り込み、アンドロイドの衛兵を押し退けて、事が終わった後の現場を押さえた。
「お前、自分が何をしたか分かっているのかっ!」
この言葉は、父親であるあの人にではなく、まだ分別が付かないはずの娘に向かって言っていた。
「ご、ごめなさいっ、お母さんっ! 私が誘ったの、私が無理に、お父さんにお願いしたのっ!」
「違う、俺だっ」
「違うのっ、お父さんが弱ってたから、私の力を少しでも返そうと思っ…キャッ!」
バキッ! ガラッ、ガシャン!
私はあの人からルシオラを引き剥がし、思い切り殴った。 こいつにはこんな制裁など、撫でられた程にも感じないだろう。
ひとたび攻撃されれば、この肌は鋼鉄より固くなり、殴った拳の方が呪いによって砕ける。 子供の頃からずっと、誰からも恐れられ、友達など一人もできず、いじめっ子をひと睨みで消した事もあった。
それ以降、こいつに話し掛けられて逃げなかったのは、タマモ、神無、朧、シルクだけだった。 パピリオやベスパ、私でさえこの力を恐れたが、私はこいつを殴るのをやめなかった。 こいつが憎かったからだ…
しかし、あの人は私からルシオラを守れなかった、加速もできず、私の腕を捻って押さえる事もできなかった。 弱っている、初めて出会ったあの頃のように、何の力も無くなっていた。
それからはルシオラが言った通り、あの人の命を繋ぐには、ルシオラと睦み合い、力を分け与えて貰うしか無くなっていた。
ただ、あの人の体から次第に魔の部分が消えて行き、ルシオラと同じ光の属性を持ち始めた。 もう私には近寄れない、触れれば互いに消耗し、あの人の弱々しい命の火が消えてしまう。
あれは、わざとそうしたのでは無いか? あいつの都合の良いよう、私が近寄れないように、あの人の体を作り変えたのでは無かったのか?
そして、ついに審判は下った…
「王の余命は、後僅かにございます、相続を務められるお方を選び、最後の戦いの日取りをお決め下さい」
名誉ある戦場での死。 或いは息子か娘が戦って、父
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