20
[2/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
律を変え… 全ての魂に安寧をもたらさん事を願う…… 発動っ!!』
城を包み込む程の巨大な魔法力が発生し、その力はたった一人の女の中に集約して行った。 私ではない、私を触媒に創られた魔法生物、ルシオラと言う名の人型の化け物の中に……
果たして、タマモですら、ここまでの力を持たされて産まれただろうか? 奴は人間の国を一つ滅ぼし、仙人や法師と呼ばれた者と戦って来ただけだ。 しかし、この力は?
「おはよう、ワルキューレ」
「ああ、昨日は変な夢を見た」
「どんな夢だ?」
「さあ? 何か悲しい夢だったが、起きれば忘れてしまった。 大した意味は無いのだろう」
「そうか」
そう言って私を抱きかかえ、頭を撫でてくれたあの人。 私はあの日、眠りながらあの人の声を聞いた。 魂の奥から搾り出された悲しい泣き声を。
「今日は閣議がある、早めに用意しなければならない」
「待たせておけばいい、今は少しだけ、こうさせてくれ」
「どうしたのだ? お前も悪い夢でも見たのか?」
「ああ、そうだ、だから少しだけ」
「分かった」
あの時、あの人は私を抱きすくめ、顔を見させてくれなかった。 今にして思えば泣いていたのだ。 それは誰に対しての罪の意識だったのだろう? 私、それともルシオラ?
それから間も無く、ルシオラが産まれた。 その真っ白な羽根を見た者達に、絶対服従の呪いを掛け、口外しようとした途端絶命するように処理したが、それらを除けば平和な日々が続いていた。
「羽、また白くなったな」
「お前のせいだ、また汚くなった」
私達は愛され、可愛がられ、その噂は庶民にまで知られて、魔族の間でも流行となっていた。
「なんか牛みたいだ」
「何だとっ?」
「そうだな、胸もデカイからホルスタインかな?」
「きっ、貴様っ!」
私はあの人に殴りかかった、もちろん本気ではなかったのに。
「ぐはあっ!」
「なっ、どうしてよけないっ、私の拳など簡単にかわせるだろうっ」
「これは「お約束」だからだ」
この時、私は恐れた。 魔神であるこの人が、私の拳を避けられなかったのだ。 弱くなっている… 老い、衰え、人間、別れ、死、あらゆる言葉が私の頭の中を駆け巡っていた。
だから私はあの人を避けたのかも知れない、弱って行くあの人を見るのが怖かったからだ。 私はルシオラより後、子を産むのも恐れた。 白い羽の子を恐れただけでは無かった、子供達があの人から力を奪い、弱らせて行くようで、とても恐ろしかった。
やがてその恐怖は現実となり、あの人は日に日に弱って行った。 力を失った魔王、そんな物は存在してはならない、誰か力有る者が倒さなければならないのだ。
その相手はタマモ? それともルシオラ? この地をま
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ