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自分達は援助を受ける権利があると言い出した。 誰がそんな笑い話を聞く? 神族や人間のような二枚舌ではなく、はっきりと言ってやろう。
この世界では死んだ者と飢えた者が馬鹿なのだ。 魔界に平等など無い、飢えた時、誰から死ぬか、誰から食料になるか、決めていなかったお前達が馬鹿なのだ。
「別の領地から配給する物資は無い、理由は分かるな」
その決定を聞いた奴は、真っ青な顔をして震えていた。 誰かを利用する事はあっても、決して施しは受けない、それが我らの誇りだ。
「王からの勅令であるっ! 下級魔族アシュタロス、貴様に与えた全兵力を持って反乱を平定せよっ!」
「…………」
「命令を復唱しろ!」
「はっ… 領地に戻り… 反乱を、平定します……」
「飢えた民衆にはその死肉を食わせてやるがいい」
そうだ、お前は造物主に対して絶対服従なのだ。 お前は私が愛するあの人を、ずっと苦しめて来たのを覚えているか? 私は忘れないぞ。 痩せ衰えて全てに絶望し、私に「殺してくれ」と言ったあの哀れな姿を。 お前もあの苦痛を存分に味わって来い、その身を自ら滅ぼしたくなるその日まで。
「やめろっ、ワルキューレッ! アシュ様を苦しめるつもりかっ! 約束が違うぞっ!」
「誰がそんな約束をした? あの人が約束したのは復活までだ、そして同じ苦痛を味あわせてやると言ったはずだ」
「ポチッ! 罰を与えたいなら、あたしにしろっ! アシュ様を苦しめるなっ!」
母として、アシュタロスに下した刑を軽くするよう嘆願するベスパ。 だがあの人は目を背け、何も答えなかった。
「不敬だ、ベスパよ。 如何に建国の功労があったとしても、王に対してそれ以上の不敬は容赦せんぞ」
「じゃあ、あたしが行くっ、反乱はあたしが鎮めて来るっ」
「許さん」
これはアシュタロスに与える苦痛だ、お前に横取りさせる訳にはいかん。 たっぷり味わって来い。
領地の中に奴と情を交えた娘がいたはずだが、どんな末路を歩んだかは考える必要も無いだろう。 広場に引き摺り出され、リンチを受けて吊るされたか、それ以前に服を引き裂かれて、進軍して来る将軍に対する復讐を一身で受けたのか、情報部が持って来る映像が楽しみだ。
「うおおおおおおおっ!! 殺してやるっ! 一人残らず殺してやるぞっ! クズどもめぇっ!!」
そのプレゼントが余程気に入ったのだろう、その映像を見てから、領民に対する態度が一変した。 若い娘を見れば、自分の恋人がされたのと同じように、人の集まる広場で乱暴し、兵士達に与えた。 奪還した地域では、「民は生かさず殺さず」「胡麻と人民は絞れば絞るほど」を実行するようになった、誉めてやろう。
やがて城塞を破壊して、自分の民を一人残らず切り刻み、大地を血に染めた中
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