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あったが、それを妬む女は多かった。 特に月に一度、年に一度だけ戯れに弄ばれ、他の年月を満たされぬまま過ごす、各地の部族の長から送られた娘達には。
やがて、その存在を疎ましく思われながらも、手出しする事を許されなかった女達から、一つの陰謀が繰り出された。 カオスが好む特徴を全て持ち合わせ、その理想を絵に書いたような女が作られ献上された。 名前は勿論、我々が忌むべき存在と同じ「マリア」と言った。
カオスは夢中になってマリアを追い回したが、あの人は楽しそうに見守っていた。 熱心に女を口説く方法も伝授していたので、悪い噂の一つは消えたが、さらに友情を深め、魔族らしくない表情で笑い合う二人を見て、女達の陰謀は儚く終わったかに思えた。
しかし、マリアには「世界でただ一人、魔神様だけを愛する」と言う呪いがかけられていた。 カオスと共に会うたびに恋心を募らせ、よりにもよってカオス本人の目の前で、あの人の前に跪き、永遠の忠誠を誓って身も心も全て捧げたいと泣いたマリア…
その時、カオスは自嘲的に笑い、涙を隠してこの城を去ったと言われる。 引き止める事ができなかったあの人は、マリアを造るのに荷担した者達に、恐ろしい刑罰を与えた。
あの人が魔界に来て初めて行った虐殺。 人形を作った部族と、この計略を考え出した部族を一人残らず殺し、その娘達は汚らしい家畜に永遠の愛を誓わせる呪いを掛け、家畜小屋で飼い、家畜の子を産ませた。
その後、マリアに掛けられた呪いは、解こうとすればマリアの存在自体が破壊されるように作られていた事が判明した。 そこであの人は、カオスと自分を逆に認識するよう、新たな呪いを上書きした。
しかし、カオスは帰って来なかった。 放浪の旅に出て、人間界に隠れたとも言われた。 最後に出来たのは、その元凶となった、マリアの首と胴体を切り離す事だけだった。
次に転生する時は、カオスの下に赴くように。 自分を愛するように掛けられた呪いが解け、自由意志で伴侶を選べるよう、1体の人形をその手で砕いた。
こうして儀式だけでは無く、この国も一気に破滅への道を歩み出した。 あの人のターンが終わったのだろうか? またアシュタロスが現れるのか?
あの人が霊破片を掻き集めて、ベスパを触媒にして産ませたアシュタロスは、ジークのように魔族らしくない優しい男になった。
統括を任された領地でも、善政をもって領民に答え、自分の眷属を豊かにする事こそが民を守る事に繋がると信じ込んでいた。
前世より遥か昔、始めからそう造られたからだろう。 だがそれは弱い者を生き残らせ、主君に対して反抗する力を持つと思わせる、この世界の禁忌だ。
やがて、それを見た「誰か」の気まぐれで、天変地異が起こった。 飢えた奴の領民は、
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