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その日はいつかやって来る
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性能が違い過ぎる。 普段は少女の体で、恋愛感情まであると言うのに。
 タマモには国を滅ぼそうとする悪い癖があるはずだが、私に止められるだろうか? 王となったあいつが、誘惑されない事を祈ろう。

 廃墟となった敵陣から、煙が立ち上っている。 全てタマモに焼き払われ、毒の瘴気で腐ってしまったが、生存者はいるだろうか?
 そこに神無が敵兵を一人連れて来た。 気絶させて、自決しないように猿轡もしている兵士を叩き起こす。

「起きろっ」
「くそっ、さっきの女か、さっさと殺せっ!」

 戒めを解かれても、我々を睨んで毒づく兵士。 この顔は… いつか見た事がある、逆天号の壁に掛かっていた写真、あいつの親友だった男だ…… それで「自分の左手が放った矢」は障壁を通過して、体に当たったんだな。

「いい腕だな、あの距離で当てるとはな」
「お前がこっちの大将か? チッ! 殺り損ねたか、さっさと殺せっ!」

 怒りに震える女達の前で、平然と座っている兵士。 神無と朧はこの顔をよく知っているようだが、転生したタマモもメフィストもこいつを知らない。 あいつが「殺してもいい」と言えば、こいつは一瞬でタマモの餌食だ。

「まあ、慌てるなよ。 今回はお前が付いた指揮官が無能だっただけだ、次はもっと良い一族に仕えろ」
「何だとっ?」
「俺とお前とは前世からずっと戦ってる。 今度もたっぷり楽しませてくれよ」
「はあっ?」

 あいつが言っている意味が分からず、まだ睨み続ける兵士。 今の名前も雪之丞なのか?

「おい、その左手、いつ無くした?」
「やかましいっ! お前に何の関係があるっ!」
「前世のお前をやっと倒した時、「戦利品」に左手を貰った。 まさか、生まれ付き無かったのか?」
「…そうだ」

 自分の左手を突き付けられ、次第に浅からぬ因縁を納得する雪之丞。

「それは悪かったな、今返してやろう」

 そこであいつは、自分に付いていた左腕を、肘の先から切り落として雪之丞に渡した。

「なっ、何のつもりだっ! てめえっ!」
「決まってるだろ、今度も全力でやり合って、何回も楽しませてくれ。 さあ、付けて見ろよ、自分の手だからすぐに付くぞ」

 また魔族らしい笑顔で笑うあいつ、これを待っていたのか、それともこれも遺言なのか?

「チッ! おかしな野郎だ、自分を殺しに来た相手に、戦利品返すなんてなっ」
「お互いハンデは無しだ、それに今は、お前の方が圧倒的に弱い」
「何ぃ?」

 左手の替わりに直付された弓を外し、手を付け終わり、食って掛かろうとした雪之丞を、ベスパが蹴り倒した。 

「やめろよベスパ、お前も手が付くまで大人しくしてろ。 それに今のままじゃ、この中の誰にも勝てない。 もっと修行して来い、今日は帰って
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