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その日はいつかやって来る
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この鞭が怖くないならねっ!』

 別の国境にいる隊長が鞭を振るうと、射程内に溝が掘られて行った。 即席の塹壕、と言うより、このサイズは堀だ。 生き残った魔法生物が中に落ちてもがいているが、こいつらの意思や、コントロールしている術者まで、笛の音でおかしくなっているのだろう。

「隊長、そっちはどうですか?」
『そうね、神通棍で溝を掘ってやったら、みんな逃げて行ったわ。 最近の子は意気地が無いわね』

 あれに立ち向かって行く勇気がある者がいれば、是非紹介して欲しい。 蛮勇と言えど、戦士には必要な物だ、我々の陣営に加えたい。

「じゃあ、逃亡者に射殺の指示が出る前に本陣も潰します。 帰って来ていいですよ」

 2弾目の準備が終わり、弓を引き絞るあいつ… それは敵に情けを掛けているのか、それとも、いずれ自陣に引き入れる兵を消耗したく無いだけなのか、どちらだ?

『誰も死なせたく無いなら、私が捕まえて来てもいいわよ』
「いえ、死人は少ない方が良いらしいですけど、「歯向かう者は殺せ」がルールだそうですから」

 私の忠告を守っているようだが、ルール? 隊長やグレートマザーとの戦いに比べれば、この程度はお遊びだったな、心配するまでも無かった。

『霊力判定、第2軍で最大の物は、この位置に集中しています。 こちらも後継者争いで敗北し、兵を借りて来た者達です』
「さっきと同じだ、何も無かったみたいに消してやる」
『了解』

 またマジックミサイルが飛んで行く、これで敵の司令部は消滅するのだろう。 何人かは巻き添えになって消える者もいるだろうが、最初のブリーフィングの通り、遺恨を残さないよう、最低限の殺傷しかしていない。 特に領地の後継者争いに敗れた者は、自陣にいない限り殺すしかない。

『3,2,1、アクセス! 敵第3軍本陣、消滅しました』
「見たかっ、これがドクターカオスの力だっ!」

 違う、それはお前の力だ。 他の者なら弓を使っても、そこまでの力を発揮出来ない。 笛にしても、生身の者が吹いた所で、近接戦闘以外で使えるかどうか。 

「じゃあ、ちょっと遊んで来る。 晩飯までには帰って来るから」
「うん、怪我しないでね」
「叔父様、私も一緒に?」
「いや、今回はパピリオだけでいい。 俺は何もしない、小鳩ちゃんも見てるだけ、まあ、危なくなったら加勢するけどな」

 シルクと朧の頬に、ご褒美のキスをして、本当に遊びに出掛けるように、式神の一体を呼び、のんびりと出発するあいつ。 ちょっと羨ましいぞ。

「小鳩ちゃん、そっちの様子はどう?」
『ええ、他と連絡が取れなくなって混乱してるみたい。 あ、パピリオちゃんが来たわ』
『聞けっ! 我こそは斉天大聖パピリオッ! かつて天界を荒らした孫悟空の一番弟子なりっ
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