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その日はいつかやって来る
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したのか、まさかこの程度で?

「いや、人形師としては、あの目の作りは許せなかったな。 泥人形の方がまだマシだ」
「何の話だ…?」

 こいつはこれを「招待状」だと知っている。 本気ならここに砲弾を撃ち込んで、何人か負傷者を出す事も出来た。 私やベスパは死んでいたかも知れない。 しかし、こいつは人形の造形の方が気に食わなかったらしい。

「犯人はこのオッサンでちゅか? どうするでちゅ?」

 すでにパピリオとベスパが、建物の上から木の葉のように降りて来た男を取り押さえていた。 爆発物に気を取られている間に、あいつを始末しようとしたのだろう。 恥ずかしながらこちらにも気付かなかった。

「神無も… あの建物から「見てた」のを倒したって言ってる。 連れて行くか、この場で処刑… するのか、魔界の作法を聞いてる」

「こちらから拘束しに行く、まず尋問したい。 神無には帰って来るよう言ってくれ」

 向こうはパピリオ以上か。 どんなセンサーを働かせたのか知らないが、ここに脅威が存在しないのを確認して、見られていただけで、命令系統の上位を押さえた。 元警官の勘と言うより、人間の科学力、いや、こいつの作る人形とは恐ろしい物だ。

「なあ、あの人形作ったの、あんたか?」
「違う」

 自分達の命が狙われたと言うのに、最初の質問はそれか? もしシルクが持ったボールが破裂していたら… 何も起こらなかったんだろうな。 あの人形も、シルクの目の前で破裂して驚かせたり、羽衣が汚れたりしないよう、放り上げただけなのだろう。

「このメンバー、見ただけで勝てないの分かっただろ? お前も死にに来たのか?」

 ここに死にたい奴などいない。お前か、お前はここに死にに来たのか?

「ギタギタにして白状させるか、だめだったら獄門貼り付け晒し首でちゅ」
「死にたい者は他にいる。 そちらの都合が良ければ案内する」

 そうか、こいつの族長か誰か、老衰で死にそうな奴がいるのだろう。 無様に病死させないための最後の戦い。 その相手に、復活した魔神の噂を聞き付けて、挑戦状を送り付けて来たのか。

「行ってもいいか?」
「そうだな… ここまで進入された上、行かなければお前の面子が立たない。 つまり我々の今後の計画にも支障をきたす。 礼儀にも反するしな」
「じゃあ、案内して貰おうか、死にたい奴の所へ」
「分かった」

 その男は、既に両腕を折られていたのか、ベスパに持ち上げられるように立たされた。

「待て、足も折っておいた方が良さそうだな、そいつは武器の塊だ」

 いつの間にか帰っていた神無が、刀の峰を向けて警戒していた。

「作法では案内役は自分で歩かせるんだよ、地雷や罠が無いように先頭をなっ」
「そうでちゅっ」


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