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その日はいつかやって来る
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完全に同化する者、一つのプログラムになる者、別離を恐れず二つのボディーから、新たな亜種を産み出そうとする者。

 永く生きて来たが、この転換期の中心に位置出来た事に感謝しよう。 ただの傍観者ではあったが、どの歴史書にも書かれる事の無い事実を、この目で見る機会を与えられたのだから。

 それとも私は、彼の人の弟子のように、僅かな金貨のために、こいつを売るのだろうか? それとも毒剣で刺し、この命を奪う日が来るのだろうか? そうならない事を祈る。

『以上でドクターカオスの計画が全て終了しました。 新たなアクセスポイントに向けて発進、いえ、帰還します』

「そうか、地球も久しぶりだな」

 まるで、嫌な物でも見るように、自分の故郷を見ているあいつ。 やがて、「ベスパの逆天号」は、南米のアクセスポイントに帰還した。


「逆天号、俺達を出して小さくなれ、俺が「アクティブ」って言うまで眠っていいぞ」

『了解、スリープモードに移行。 以後必要な物資があれば、自動で転送されます』

「ああ、ご苦労さん」

 乗組員全員が外に転移させられ、まだフラフラしているベスパとパピリオも、一緒に外に降ろされた。 そこに、私のバックアップをしていた隊の、指揮官達がやって来てベスパに声を掛けた。

「よくやった、ベスパ。 これは勲章物、いや2階級特進だっ!」

(ああ、もうお腹一杯… 上からも前と後ろからも、「もう入んないっ」てぐらい飲まされたから、アシュ様妊娠してるかな? あ、髪の毛にも精*付いてる)

 駆け寄って来た上官に話し掛けられても、余韻で顔を赤らめたままで、何も聞こえていないベスパ。 その腹は、私と同じように「何か」が詰め込まれて、妊娠初期のように膨らんでいた。

「ベスパはまだ回復していない、爆発で聴力も低下しているので、しばらく待ってやれ」

 フォローを入れて、「ご主人様」のご機嫌を取ろうとした私。 あの頃は、暫くあんな感じだったな。

「そうか、ゆっくり休むといい。 今後の配属も、お前の思う通りにしてやる」

「じゃあっ、ポチの部下がいいっ!」

 その言葉にだけは、はっきり答えてしまったベスパ。 こいつは自分がどう言う状況なのか、全部ばれても構わないらしい。

 しかし、呼び方がまだ「ポチ」だ、きっと私と同じように命令されたんだろう、「これからもポチで呼べ」と。

「何だって? あの人間の部下? あれを部下に欲しいと言う意味か?」

 こいつは本当の馬鹿だ、人間に惑星の浄化や、魔体の建造が出来ると思っているらしい。 それともあれが見えなかったのか、「見えない」ようにされたのか? まあ、どちらにしろ上層部も、使いやすい小役人を出して、生贄にされても構わない部隊を送り出したのだろう。

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