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その日はいつかやって来る
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ち下さい」

「は、離すでちゅっ!」

「パピリオッ!」

 パピリオを小脇に抱えると、また消えたコバト。 ベスパも成すすべも無く見送っていたが、気を取り直して、こちらに向かって飛び始めた。

 ビュウウン!

「ぐああっ!」

 飛び立って間もなく、古い逆天号の上に叩き落されたベスパ。 そこで画面のノイズだと思っていた所から神無が現れた。

「お前は待っていろと言われたはずだ」

「クソッ! その触角? アタシの妖蜂を盗んだのはお前かっ!」

「人聞きの悪い事を言うな、古い宿主が死んだので、新しい宿主に移っただけだ、下を見て見ろ」

 神無に指差され、吸収されて行く逆天号の結合部を見ているベスパ。 神無への警戒は怠っていないようだが、見えない所から攻撃されるような相手なら、戦いにもならない。

「あれは… どうして繋がっているっ?」

「さあな? ヨコシマはこう言っていた、「逆天号とアシュタロスの魔体は同時に2つ存在してはならない」と、そして「俺達が交代する時、あいつも沈む、重なって影となって消える時だ」とな」

「何だって?」

 理解出来ない言葉に困惑するベスパ、私の報告を読まなかったな。 それとも故意に聞かされずに送り込まれ、ここで死ぬ運命なのか。

「分からないか? ではこれも教えてやろう。 ヨコシマは「俺はアシュタロスだ」とも言った、「どこの誰だか知らないが、俺達を切り分けて、中身も外見も使命も、全部逆にした奴がいる」と」

「ふっ、バカな、あのポチがアシュ様だと、笑わせるんじゃないよっ!」

 神無の口を塞ごうと、エネルギー弾を打ち込むベスパだが、そんな物はかすりもしなかった。 2度目は無駄だと教えるように、掌の中で握り潰され、掻き消された。

「認めたくないようだな。 だが魔体、逆天号、南極基地、全ての符号が重なり合っている、それも正反対に。 では私にも教えてくれないか? お前のアシュタロスは、南極で基地を犠牲にしてまで、何を取り戻したかったのかを」

 そう聞かれ、驚いているベスパ。 戦いにもならない状況に絶望する奴ではないが、目の前の見知らぬ女が、アシュタロスとベスパしか知らない、千年前に行われた儀式の目的を聞きたがっていたからだろう。

「知らんっ! そんな物は無かったっ!」

「そうか、殺すなとは言われたが、口を割らせる方法はいくらでもある」

 ベスパの全ての攻撃を、虫でも払うようにして、ゆっくり近付いて行く神無。

「おっ、お前は何者なんだっ!」

「横島神無、あの人の妻だ」

 神無も、月神族とも警官隊隊長とも名乗らなくなった。 迷惑をかけないためか、それとも他の肩書きは全て不要になったのか。

「友人達の遺言を叶えようとした
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