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くに忘れられ、実質は隊長や「紅ユリ」ことグレートマザーが取り仕切った事業も、人間界では全てカオスの功績となっている。
《今にして思えば、これらは全てドクターの計画だったのでしょう。 アンテナが破壊された後の事故処理も、惑星間の通商戦争を停止させたのも、全てマリア型人口知能に組み込まれていたに違い有りません。 そして軌道エレベーターも、建設後数百年で極移動が起こる事を予想して建てられていたのです。 我々は… 人類は最高の頭脳を失ったのです…》
涙で詰まって言葉にならなくなった解説員、アナウンサーも涙を拭いながら、ようやく言葉を続けた。
《尚、本日はドクターカオスの喪に服すため、全ての軌道エレベーターが停止され、地球の夜の側の照明が落とされます。 各地でもカオスフライヤーの運転が自粛され、数世紀ぶりに地球から星が観測されました》
「そうだ、称えろっ、ドクターカオスの名をっ! 泣けっ、おっさんの命が… 終わった事を……」
そう言って、また朧の胸で泣いているあいつ。 だがこれはカオスの遺言や願いを、遥かに超える名誉だろう。
地球だけではなく、外惑星にいる既に人類では無い機械まで賛同し、人間界にいる全ての者が、一人の男が死んだ事を嘆いている。 そして未来永劫、この世界が存在する限り、その名が称えられるのだ。
人として生まれ、これ以上の名誉が存在するとは考えられない。 私もカオスのあらゆる遺産を利用する者の一人として、哀悼の意を捧げよう… これだけの事業を計画し、マヌケだった男をここまで教育し、指導して来た最高の教師に対して。
「う〜ら〜め〜し〜や〜〜」
そこで、幽霊になったミカミが、恨めしそうにあいつの背後に現れた。 まさか退魔屋だった女が、怨霊に成り下がるとはな。
「よお、まだいたのか? でも金は無いぞ、地球の経営権は全部隊長に渡したし、残りはヒムロ育英基金に寄付したからな」
「なんですって! 私がいなかったら、またそんな無駄遣いを… じゃなくて〜、これはどう言う事〜〜、神無に朧〜 その上、ワルキューレには首輪まで付けて〜〜」
「私は違うぞっ、捕虜だ、捕虜っ」
念のため、憑依されないように言い訳はしておく。 しかし、地球は浄化されたばかりだから、こいつが怨霊第一号だな。
「私はヨコシマの妻だ」
「あたしもっ」
「何ですって〜、神無と朧が〜〜」
「妻は私だけだ! さっき聞いたぞ、「金に目が眩んで依頼を受けて、離婚届に判を押して念書まで書いた」そうじゃないか、もうお前に権利は無い」
「う〜そ〜つ〜き〜〜」
怨霊に理詰めで話しても無駄だ、取り憑かれるぞ。
「ああっ、「お姉様」に悪霊がっ、成仏しなさいっ!」
ピリリリッ! ピーーー
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