暁 〜小説投稿サイト〜
その日はいつかやって来る
08
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単だ、本物の神父はここにいるしな」

 首にかかったロザリオを出して、懐かしそうに撫でているこいつ。 お前には全く似合わない代物だが、やって来た事は十字架に張り付けられた男に似ている。 理解に苦しむ事態だ…

「神無に太刀を」

『了解』

 装備が置いてあった台に、百キロはある刀が転移して来た。 私でも振り回すには重すぎる。

「体の使い方は分かるな、その太刀も今の腕なら軽すぎるかも知れん、使ってみてくれ」

「分かった、見ていろっ、朧っ」

 月神族の平服、白拍子のような格好に太刀を下げ、その場から消えるように走って行った神無。 やはりこいつにも、隊長クラスの力が与えられていたのか? まあ今更、私に遅れを取るような体は渡すまい。


「神父殿、何をしておられるのだ?」

「これは神無さん、横島君がこれ以上悪事を働かないように止めている所ですよ。 手を貸して下さいませんか?」

 モニターには雷撃を出し続けている神父が映り、遠巻きに見ていた隊長達が神無に道を譲った。

「断る、ヨコシマは世の為人の為、何事かを成そうとしている、それが分からぬ神父殿でもあるまい」

「それでは仕方ありません、横島君と一緒に天に召されて下さい」

「外との接触は、お主が担当していたな、神にでも操られたか?」

「操られたのではありません、これは私の意思です」

(データ、唐巣神父、約2600マイト。 無制限に放出される雷撃で、周囲に存在する全ての物を焼き払う。 これは過去に出会ったメドーサなる難敵より遥かに強い。 以前の私なら一瞬で消し炭だ)

「元月神族警官隊隊長神無! 参るっ!」

(今私は、電光のような神父の攻撃を、刹那の間隙で全てかわし、加速している。 周りの音が消え、弾け飛ぶものも落下して行く物も止まり、神父の動きすら緩慢に見えて来た)

「やめなさい神無さんっ! 神の意思に逆らってはいけませんっ!」

「問答無用っ!」

(素晴らしい、私や神父のような力が、月に配置された警官達にも備わっているのか。 では私など居なくても月は安泰だ)

「はああっ!!」

(交錯した瞬間、私は神父の形をした物の首を落とし、背中を向けたまま急所である胸の中心を貫いた。 例え同じ体であったとしても、命の息吹の通わない物は弱い。 そしてこの体と太刀は、その思いに答えるよう作られている)

「神父、お主に魂は無かったろうが、迷わず成仏して、正しい姿でヨコシマの元に転生して来い」

(これからは私が、こういった物を始末して行かねばならないのだ。 ヨコシマが手出し出来ぬ友人と同じ顔をした物を… 例えそれがグレートマザーやシルク、朧であったとしても、この手を汚し、あの表情を曇らせる物を全て斬る。 それ
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