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その日はいつかやって来る
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登って来たんです」

 では、そいつらも救われなかった。 穢れ、つまり他人の霊破片や、怨念が取り除かれず、浄化されなかったのだ。
 
「君はいつもそうだ、誰かのために自分を犠牲にしようとする。 もっと自分を大切にしてくれっ、頼むからっ」

「はいっ、グスッ、でも危なくなったら、きっと叔父様が助けに来て下さるって、信じてましたからっ」

「ああ、君のためなら俺はどんな事でもする。 俺には人類全部より… 地球よりも君の方が大切だから」

「えっ……」

 そう言って抱き締められ、頬を赤らめて、震えながら奴の顔を見上げているシルク。 こんな年の小娘が、これだけのセリフを言われて、普通でいられるはずがない。 そして私も…

「わ… 私もです、叔父様」

 私はまた銃を抜こうとしたが、手も動かせなかった。 何故この女がこうも憎い? 私はこんな小娘に嫉妬しているのか…

「叔父様、私も連れて行って下さい。 泥棒はまだできませんけど、きっと覚えます」

「いや、そうじゃなくて」

 嫌だ、私は「奴は大変な物を盗んで行きました」とか「貴方の心です」とも言わないぞ。

「さっき井戸の水を止めて来ました… 神社にある腐海の植物も、もう枯れると思います。 汚染されているのは植物じゃないんですっ、大地の方なんですっ!」

「そ、そうなんだ… でも、そう言う話じゃ無かったと思うんだけど?」

 シルクは人々を清浄な大地に導く、「青き衣の人」らしい… こいつも天然娘の前では、いつもの調子が出ないようだな。

「さあ、危ないから中においで」

「はい……」

 この顔は絶対勘違いしている。 私の時と同じで、部屋に通されて、そのままいかがわしい事をされると思っている。 こら、私を睨むな。

「叔父様、あの人、誰なんです? 人間じゃありませんね、まさか叔父様の…」

「ああ、魔族の捕虜だ、首輪がついてるだろ、ポチって呼んでやるといい」

「始めまして、「ポチ」さんっ」

 ヨコシマに言われると、何故か嬉しいあだ名も、こいつに言われると非常にムカツク。 やがてシルクは「ペス」と書かれた部屋に案内され、私とは比べ物にならない厚遇でもてなされた。

「わ〜、わたし、こんな豪華な部屋、初めてです〜」

 待てよ、当時の「ペス」ヒャクメは、ヨコシマと同じ檻だったはずだ… アクセスポイントも閉じられて、弱った所でこいつに会って、心細さから、つい男と女の関係に…… いや、今はそんな昔の事を考えている場合じゃない、それにこいつは神族嫌いじゃないかっ。

「毎年、誕生日とクリスマスと、ホワイトデーと……(中略)……盆暮れ正月には色々と送ってたと思うけど…」

 甘やかし過ぎだっ!

「家具や装飾品は、全部弟
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