暁 〜小説投稿サイト〜
その日はいつかやって来る
06
[6/7]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
果たしています』

「そうか」

『軌道リングと連動し、回収した魂と使用不能のまま放置された霊破片を回収中です。 回収完了までに一時間。 修復完了までに三時間を要します、それまでお休み下さい』

 こいつが何をしているか、神族は気付いただろう。 しかし人間には分かるまい、あの隊長はどうだ?


「ヒャクメ、あれは何をしてるんです?」

「壊れた魂と使えない霊破片を集めてるのね〜。 放出されてるのは、修復されて精製された魂なのね〜」

「それではまるで…」

「そうなのね〜、魔体じゃなくて、ご神体なのね〜〜」

 哀れな魂や救われない霊が全て昇天し、魔体?からは、修復されて澄んだ魂が放出されている。 欠けた心が引き起こす醜い欲望や、争いを求めない魂、これでは「始まりの時」と同じではないか。

「お笑いだろ? 悪の心を持って、人を殺したい物に課せられた使命は、人類の守護と魂の救済だったんだ、笑えよ」

「笑えない…」

「そう、笑えないジョークだな」

「だが、アシュタロスはあれを自分の意志でやった、お前もそうなんだろう?」

「昔の俺なら大喜びしただろうな。 もしかしたらあいつもそうだったかも知れない。 喜んで準備してたら、それは自分の一番嫌な事だったんだ。 でも後戻りはできない、坂道を転げ落ちるみたいに前に進むしか無いんだ」

 私は何故泣いているのだ… こいつが哀れだからか? それともこの美しい光景を見て感動しているのか? 分からない、自分の心なのに……

「こいつらも貧しさや病気に負けただけなのに、綺麗な女や男の姿をした魔族に誘惑されただけなのに、それが罪だと? ふざけるな。 俺は神と名乗る傲慢な奴らを許さない、自分こそが秩序だと自惚れる馬鹿共を許さない」

「お前も、神と戦うのか……?」

「ちょうどそのバカが追いかけて来てるな。 魔体に吸わせて材料にしたら、人間用の魂なんかいくらでも作れる。 試してみようか?」

「やめろっ!」 

 あれだけの破壊力で吸引すれば、神族も我々の部隊も全滅だ。 そうなればデタントどころじゃない、両陣営がこいつを狩りに来る。

『警告! 魔体に向けて攻撃がありました』

「「何っ!」」

『弾丸「カオスの魔弓」と断定、軌道リング上の発射地点に「天女の羽衣」を確認、装着者は…「ヒムロ・シルク」です』

「何て無茶なっ!」

 モニターに拡大された映像には、さっき見た幽霊娘が映っていた。 やはり転生していたのか。

《検索、ヒムロ・シルク》

《1300年続く氷室神社の娘。 ヒムロ・タダオからの援助により、養護施設を運営。 主に孤児を育成する事業に貢献、表彰多数。 政財界のプリンセス・メガと親交が厚い》

『魔体から
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ