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その日はいつかやって来る
04
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、最高の苦痛を与えてやるっ!」

 こいつは今、とても魔族らしい顔をしている。 だがこいつは何者なんだ? アシュタロスと苦しめ合って来た? 復活? どうやって?

「俺が今まで知り合いだけを実験台に使って来たのはこのためだ。 あいつが俺に苦しみを与えるためだけじゃない。 許された奴を復活させるのに必要な力と「痛み」を蓄えるためだっ、これは俺にとって「耐えられる痛み」だったんだ」

「どうした? 何を言っているっ、しっかりしろっ!」

 しっかりするのは私の方だ… 足の震えを止めろ、歯を鳴らすな、恐怖を克服しろ。 ここに死以上の恐怖があるとでも言うのか?

「ははっ、慌てるなよ、これは俺が決めた事だ。 奴との駆け引き、いや取引で譲歩した戦術だ。 さあ、今度はどんな責め苦を味あわせてやろうっ! お前も誰かを踏みにじるのなんか、所詮耐えられる痛みだったんだなっ、勉強になったぜっ!」

 もうこいつは、アシュタロスが目の前にいるかのように話している。 きっとお互い、それ程近い存在なのだろう。 そして私はその事実を聞かされるのだ……

「そうだ、俺はアシュタロスと対になる物。 二人共、大昔に誰かに造られたんだろう。 魔の中にある善の心、神と人の間にある悪の心。 俺達は数百年に一度、大規模な魔導災害を起こすために造られたんだ。 エントロピーとやらが失われないように働く原子間の斥力、熱と運動と摩擦の源として」

「あ… いやっ… やめ……」

 壁に追い詰められた私は、肩を掴まれたまま怯える事しか出来なかった。 怖い、恐ろしい… 目の前にいるのは人間じゃなかった、魔神の一人だったのだ……

「怖いか? 今度はお前が言う番だ、「それ以上言わないでくれ」って」

「は… はい…… も、もう、言わないで… 下さい… お願い、します……」

 私は魂を取る契約をしたのでは無かった。 魔神に魅入られ、手足のように操られるのだ。 これからもずっと……

「ようし、いい子だ、これは二人だけの秘密だ。 俺もこのまま一気に駆け上るのは面白くない、暫くは忘れて戦いと殺戮を楽しむとしよう、お前も忘れていいぞ」

「は、はい……」

 私は頭を撫でられ、飼い主に可愛がられる犬の喜びを味わっていた。 もし尻尾があれば千切れそうなほど振って、許しがあれば足に抱き付いて舐めていただろう。

「このまま10メートルほど進んでやり直そう。 俺の最初の質問は「これからどうやって魔界まで行くんだ?」だ、答えを用意しておけ」

「イエス・サー マイマスター」

「では契約の印だ」

 マスターに契約の口づけを与えられ、至上の幸福を感じる私。 この後、今の記憶を失ったとしても、不敬な行いをするのは慎もう。 可能な限り敬意を払って行動するの
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